うつ病で退職を考えている人がどのようにして円満に退職を行えるのかを検証していきます。うつ病で悩まれている方にとって退職という決断をすることだけでも大変なことです。その中でも退職に向けての手続きや退職後も無事に暮らせるための安心できる方法を事前に知っておく事で、精神的な負担が大きく軽減できます。
うつ病の診断を受けるまでにあたっては、職場環境や仕事の関わり方など多くは人間関係などに起因することがよく挙げられます。これらの問題解決は職場側の配慮や姿勢によって大きく改善されることもあります。むしろ労働者を守らないといけない雇用主側の責任でもありますので、こちらに関しては職場側の努力義務を課せられます。
職場側の環境改善などの努力を行っても、うつ病などの克服に繋がらないことや体調不良がいつになっても改善できない場合には退職という選択もあります。退職というのは労働者側にとっても大きな選択となりますので、その場合はその後の生活にも不利とならないように忘れてはいけない様々な手続きがあります。その手続きは自分自身だけで行うことが難しい場合には家族の支援を得ながらも順序立てて行う必要があります。
うつ病で退職を決断した人のお金のイロハ
もし、うつ病で退職を考えている人にとっては休職中や休みがちの今の給料や退職後の退職金なども心配になるかと思います。うつ病で仕事に従事している期間は所定の勤務日数を無難にこなすことも困難になってくることや、半休を取りながら病院へ通院することも増えてきます。
病院に通うために半休を取ることや突如出勤できなく休暇を取る場合には欠勤とせずに有給休暇を取得するところから始めます。基本的にはうつ病に罹った人も生活がありますので、基本的に欠勤などで賃金を減らすことはとても困ってしまいます。そうならないように、まずは有給休暇の取得を申し出るところから始めることで生活の負担とならぬようにします。職場でその有給取得を拒むことは出来ませんので、有給取得にて賃金は確保できます。
また、健康保険組合に加入されている職員の人であれば、うつ病である程度就業が困難となった場合に「傷病手当金」が受給できます。これは病気やケガなどで就業することが困難となった場合に休んでいる期間に受け取る給料の代わりとなります。この手当は月給の3分の2となる金額ですので、月給30万円もらっている人は20万円の金額が休んでいる間も受けとることが出来ます。この手当の請求は休業4日目から支給を受けることができますので、有給休暇との併用はできませんので注意が必要です。
ただし、常日頃残業や営業手当なども多く、直近の月給が高い人にとっては有給取得で実際の月給額計算の3分の2以下の場合は差額支給を受けることができます。しかし、その該当となる人は物理的な計算上で過酷な残業などを強いられているくらいの人でないと当てはまらないと言えます。
傷病手当金は最大受給期間が1年半となりますので、もし、この期間内に退職を挟んでいても受給条件に当てはまっていれば退職後であっても受給は可能です。それは退職日までの期間に健康保険組合の加入に欠損期間が生じていないかが重要です。
うつ病で休んでいる期間にボーナスはでるのか?
うつ病でほとんど勤務ができない期間であっても賞与は受け取ることはできるのかという悩みは誰にでも持っているかと思います。退職する前に賞与査定の対象期間に在職しているからと言っても「必ず出る」というのは決まっていません。会社によりますが、賞与の査定や支給決定は絶対という法律は無いのです。
つまり業績や支給できる要件に満たなければ、それはうつ病である人であってもなくても受けとることは出来ません。ただ、就業規則や給与規定などに当てはめて在職期間などの要件を満たされていれば賞与の受給も可能かと思われます。
うつ病と闘っている人であっても基本的な権利や受給できる給与や手当などは行使できます。ただし、そのための手続きなどを行わないといつまで経っても支払われないことや会社側で忘れてしまうこともありますので、当人だけでなく家族の方も知っておかないといけません。
退職時に必要なうつ病の診断書の扱い方
うつ病自体は自分の鬱的な症状で薬を処方されているだけでは職場で長期の休暇を取るというのは困難となります。会社で長期の休暇や休職などの扱いをしてもらうには診断書の取得が必要となります。また、会社では産業医という専属の医師がいるので、休職や復職などの判断をしてもらうには産業医の面談も必要となってきます。
診断書の取得に関しては自身のかかりつけの医師や医療機関を受診すれば、取得をすることが可能となります。また、うつ病というのは計測する数値や目に見える症状などを読み取ることが難しいと言われています。そのため、医師によっては診断書の取得の可否は違ってくるとも言われます。ただし、最近ではかかりつけの医師により詳細に相談することで、取得にあたっては親身にしてもらえるようになっていると言われています。
診断書を取得する理由には、会社だけでなく役所などで受ける公的支援にも必要となるため、とても重要となってきます。また、うつ病を理由に退職を考えている人にとっても同様と言えるため、主治医への依頼は欠かさずに行いましょう。診断書を用いたその後の手続きは以下の点で活用されます。
・長期休暇、休職の判断を得るために必要な手続き
・退職のための手続きとして必要な手続き
・傷病手当金の受給に必要な手続き
・障害者手帳、障害年金の受給を得るために必要な手続き
・失業保険の受給のために必要な手続き
・損害賠償請求のために必要な手続き
うつ病に関しては精神疾患の部類とされるため、見た目の傷害や病気としての判定が困難なため、主治医からの診察を経て診断書を取得することとなります。診断書があることで、会社も役所も患者の必要な手続きを拒むことは出来ませんので、必要な権利を求めることが出来ます。これを会社側が拒むこととなれば、弁護士を通じて損害賠償請求や、労働基準局に権利を行使することが出来ます。
うつ病を発症した場合の退職届の書き方
うつ病にて退職を希望する場合には基本的な「一身上の都合により」や「健康上の理由により」といった事を表記して退職届を書くことは問題ありません。しかし、どうしても会社に出勤することが困難でそのまま退職せざるを得ない場合に関しては診断書を添えて退職届を準備することも必要かと思われます。
退職する場合に詳細の理由を求めることはありませんが、うつ病で退職する場合にはその後の失業保険の受給にも大きく関わってきます。また、傷病手当金などの受給中であれば、退職後にも受給期限まで手当金を受け取り続ける事が出来ます。そのため、退職届の書き方に関しては「健康上の理由により」と書き、診断書を添えて提出することが良いでしょう。
うつ病で退職した場合の失業保険の扱いは?
どうしてもうつ病で退職をせざるを得ない状況となった場合にはその後の失業保険の手続きの仕方が変わってきます。自己都合の退職となりますが、うつ病にいたっては最低3ヶ月間待たないといけないところを「すぐに受給が可能」となります。また、ハローワークへ失業保険の受給を求めに行くと聞かれるのが退職となった理由やすぐにでも求職する意思があるのか等も聞かれることがあります。うつ病であっても働く事が出来る可能性を確認されることもあり、場合によっては通常の3ヶ月間を待つことにもなります。
失業保険を出来るだけ早く受給するためには、今回退職となる前に明らかにしておくのはうつ病と診断された原因や理由、通院履歴から発症時期などを事細かく記録しておくことが必要です。診断書に関してはその後の失業保険を受給するためにとても重要な手続き証明の一つとなりますので、必ず診断書を取得することが必要です。
失業保険給付金は雇用保険を掛けている期間にもよりますが、自己都合で退職であれば90日待って90日間しか受け取れないとても困窮することとなります。しかし、うつ病で診断書やそれまでの発症歴の記録などを持っているとこの給付期間が最大300日まで受給することが可能になります。そのため、退職前に必要な書類の準備と手続きは入念に行うことが求められてきます。
うつ病を理由に退職する意思表示はメールでOK?
どうしてもうつ病で退職を直接伝えることが難しい場合があります。そんな場合には退職意志をメールで伝えることは問題ないのかと聞かれれば「メールでも可能」というのが答えになります。うつ病となれば、会社に出向くことが困難な場合が多く、どうしても人と会うことも大変厳しいというのがあり得ます。その場合には、自署した退職届をPDFデータにして添付することが良いでしょう。
また、自署した退職届に診断書を添付して送ることはとても有効な手段となります。相手側に今回の退職理由の原因となったうつ病の診断書は失業保険受給のためにも必要ですので、休暇を取る時点からかかりつけの医師より取得しておくことが望まれます。
メールで送信する方法は相手にとって失礼にあたり、気が引けるといった人は郵送にて書式を送付することも問題ないかと思われます。その場合にも診断書を添付して、自署した書面を相手側へ郵送します。うつ病という健康上の理由に関しては、企業側も深く面談を求めることは出来ないため、そのための配慮は権利として認められます。
まとめ
うつ病となった背景にとても就業や出勤の困難さが配慮されるべきものとなります。そのため、直接面談での退職意向を申し出ることは難しい場合は企業側で労働基準法に則って配慮がなされます。ただし、忘れてはならないのが、退職する前から必要な手続きは必ず忘れないように行うことです。
必要な手続きが充分になされない場合は、傷病手当金や失業保険などが存分に受け取れない怖れがあるため、生活に必要な需給は必ず漏れの無いように行います。また、退職となる前に会社側との環境改善や基本的な権利を行使することは大事です。その中で改善が見られない事や体調がどうしても整わない場合は前もって退職意向の相談を段階的に行っていくと会社側の配慮も得られやすいようになるかと思われます。