退職するときには、様々な準備が必要です。事前に何をするべきなのかを考えておかないと、いざ退職をはじめるときに困ってしまうことも多いと思います。
特に退職をどのように伝えるのかという点においては、これまでお世話になった上司だけに委縮して言い出せないことも多いのではないでしょうか。
そこでここでは、退職するまでの基本スケジュールをまとめつつ、退職の意志の伝え方をまとめていきましょう。
退職するときの基本スケジュール!これで円満!
退職するときには、あらかじめスケジュールを考えておくことが大切です。何の考えもなしに退職しようとすると、次の職場に移るのが遅くなってしまったり、退職の意志を伝えるのが滞ってしまったりします。
よって、退職を実行に起こす前に基本的なスケジュールを意識しておき、それぞれの過程で自分が何をすべきなのか、何をするのか、知っておきましょう。
以下では、退職までのスケジュールを「計画を立てる」「意志を伝える」「相談をする」「引継ぎを行う」の4つのステップにわけて、それぞれのポイントを解説していきましょう。
1.退職までの計画を練る
まずは、退職するときまでのスケジュールを考えましょう。具体的には、「いつ退職を切り出すのか」「転職先に入社するのはいつになるのか」「その後の仕事はどうなるのか」などを考えておきましょう。
まず最初に考えるべきなのは、退職を切り出すときです。退職するということは、今まで自分がしていた仕事に穴があくということです。よって、仕事を切り出すときは、あまり自分が忙しくないときが望ましいでしょう。
特に会社にとって繁忙期となる時期に退職を切り出すと、会社にとって迷惑になるだけではなく、本人にも膨大な残務整理がのしかかってくる可能性があります。また、上司の方にも「忙しい」という、退職交渉を断る大義名分を与えてしまうのです。
よって、円満退職を望むのなら、退職を切り出すタイミングは会社が忙しくない時期にするようにしましょう。理想を言うのなら、繁忙期が終わり、会社がひと段落ついた状態で退職を切り出したいところです。
もちろん、ハラスメント上司のせいで精神的につらい場合や、このまま続けていると命の危険性がある過労気味な職場にいる場合は、そこまで気にせずに一刻も早い退職ができるようにしましょう。
また、退職のあとのことも、退職を切り出す前に考えておきましょう。住む場所はどうするのか、新しい職場はどうするのか、職場が見つかるまでの生活費や家賃はどうするのかなど、考えておかなければならないことはたくさんあります。
このように、退職するときは一時の感情で飛び出したりせず、自分の状況を冷静に見つめなおして、退職するまでのスケジュールを考えておくことが大切です。
2.退職の意志を伝える
退職のはじまりは、退職の意志を伝えることからはじまります。自分が決めたスケジュール通りに退職の意志を伝えましょう。このとき、相談する上司は自分のすぐ上の直属の上司がベストです。なぜなら、その上司を飛び越えて別の上司に相談してしまうと、上司の期限が悪くなる可能性があるからです。
退職を切り出すと、何らかの手で退職者を引き留めにかかるかもしれません。しかし、本当に退職したいのならそれには耳を貸さないようにしましょう。退職というカードを出さなければ要求を聞いてくれないような会社の状況が改善されるとは考えられないからです。
3.退職する日を相談しながら決める
退職する意志を決めたら、次は具体的に「いつ」退職するのかを決めましょう。法律的には退職の意志を伝えてから2週間後に退職ができますが、具体的な退職時期は就業規則に定められています。事前に就業規則を確認し、何日後に退職できるのかを確認しておきましょう。
例えば「退職前の1か月前に意志を伝えること」とされている場合は、最短で1か月後の退職が可能です。しかし、会社の都合や引継ぎの都合、残務整理などの都合で、それよりも長くかかる可能性もあります。
もし、会社側の提示する退職の時期と自分の希望の時期がどうしても合わないという場合は、2週間後に強制的に退職も可能です。ただし、会社の都合を無視すれば当然円満退職はできません。その点は、自分の希望と円満退職を天秤にかけて決断しましょう。
4.引継ぎを行う
ごく一部の例外を除いて、退職をときの残務整理と引継ぎは、絶対に行っておくべき仕事です。特に引継ぎは、退職をする前に最後の貢献の機会といえます。
引継ぎの方法は業種によって異なりますが、一般的には自分が今まで得たノウハウや取引先などを、ひとつのノートやデータにまとめるのが一般的です。また、取引先に引継ぎをする人を連れていくのも方法として一般的でしょう。その後、まとめたデータを信頼のできる上司などに渡しておきましょう。
このとき、個人間で引継ぎを行うのは避けましょう。仲の良い人に引継ぎデータを渡してしまうと、それが思わぬトラブルに発展してしまう可能性があるからです。引継ぎに関するデータや事項を渡すときは、必ず上司にも「〇〇さんに引継ぐ」ということを示してください。
退職する意志を伝えるとき!いつ言い出す?
退職するときの、最も大きなハードルが退職の意志を言い出すときです。特に、良い職場であればあるほど、退職を言い出すのは心苦しいのではないでしょうか。
しかし、退職は自分のキャリアをあげるために重要なターニングポイントです。相手のことを思いやるのも大切ですが、相手のことばかりを思っていては自分の人生を生きることはできません。
そこでここでは、「退職をする」という意志を伝えるとき、どのように伝えればいいのか、紹介します。
1ヵ月以上前が一般的
「退職をしたい」と決意を固めたら、本音を言えば今すぐにでも退職したい方が多いはずです。しかし、退職する前には引継ぎ業務をはじめとしてやっておかなければならないことが無数にあります。
また、本人だけではなく、退職の意志を告げられた会社のほうも、手続き面や業務面でやらなければいけないことがたくさんあります。よって、退職の意志を告げるのは、実際に退職をするよりも1か月以上前が適切なタイミングだといえるでしょう。
退職を告げたあと、同僚や上司と微妙な空気のまま過ごすことのではないかと、悩んでしまうかもしれません。しかし、円満退職を望む良い職場なら、前向きな退職を祝福してくれるはずです。怖がらずに、1か月以上前に退職を告げましょう。
忙しい時期は避けるのが理想
退職を告げるときのタイミングも重要です。理想を言うのなら、前述したように繁忙期を終えた後の時期がベストなタイミングになります。
繁忙期を避けるのは、ただでさえ忙しい時期にマンパワーを落とさないようにすることと、退職にあたって行わなければならない業務を繁忙期に重ねないためです。また、上司が交渉に応じやすくなるという面でも、繁忙期は避けたほうがいいでしょう。
繁忙期に退職を告げようとしても、上司のほうが忙しくて手続きが進まなかったり、退職交渉がおざなりになってしまうことが多いからです。
円満退社するのが難しいときには……
出来ることなら、両者にとっても退社するときは円満退社が望ましいと思います。しかし、お互いの意見が平行線をたどり、円満退社が難しいこともあるはずです。そんなときは、円満退社を諦めてしまうのも手段のひとつです。
具体的には、退職の意志を示した後に2週間が経過すれば、会社は退職者を引き留めることができないのです。よって、会社に内容証明郵便で退職届を送ってしまい、あとは2週間は「休職」という形で休んでしまえば、退職ができます。
もし、退職の際にこれまでの給料が払われなかったり、本来払われるべき退職金が支払われなかったりしている場合は、労働基準監督署に訴えましょう。ただし、退職金に関しては支払うのが義務というわけではないため、請求する前に就労規則を確認してください。
退職に際して、不当な請求を行うことも禁止されているので、もし脅されて円満退職が難しそうな場合でも、安心して退職しましょう。退職する権利は労働者側にあるので、会社側はその権利を侵害することはできないからです。
「辞める理由がどちらにあるのか」で揉めている場合もあるかもしれません。なぜなら、会社側は「退職者都合の退職」にすることで助成金を利用できるからです。しかし、退職者側は自己都合での退職の場合、制度的に不利になります。
もし、辞める理由が会社側にあるのなら、その正当な証拠をハローワークに持っていけば、会社都合の退職に変更してもらうことも可能です。そのため、一旦は会社の提案を受け入れて、退職して自由の身になってしまうのも手段のひとつです。
退職するときの理由によっては訴訟できる可能性も
退職をする理由がネガティブなものである場合、会社を相手取って訴訟を起こせます。例えば、パワハラに対する慰謝料の請求や、賃金の未払い・過労に対する慰謝料などを目的とした訴訟が主なものです。
こうした訴訟が認められるほどのパワハラ・セクハラはかなり重度なものです。実際に精神的な苦痛によりしばらくの休養を余儀なくされたり、精神科などから診断書を書かれていたりしなければ、訴訟に発展することはありません。
それを承知でも訴訟したいという場合は、まずは証拠を集めましょう。給料の未払いであれば、タイムカードや給与明細が証拠になります。パワハラの証拠であれば、録音や同僚の証言といったものが証拠になるでしょう。
ただし、会社側も黙って慰謝料を出すということはまずありえません。ほとんどの会社は、退職者に訴えられないよう、優秀な弁護士を立てています。よって、会社を相手取って訴訟を起こす場合は、長期戦を見据えて弁護士に相談しましょう。
もし長期間の裁判を避けたいというのなら、示談金という形で手を打つのも手です。
まとめ
退職をするときは、できる限り円満退職を目指しましょう。そのためには、基本のスケジュールを確認し、自分にあわせた形でスケジュールを組むことが大切です。そして、スケジュール通りに退職を進めましょう。
そして、退職の意志を伝えるときは、相手のことを思いやりつつも、自分の意志を曲げないようにしましょう。スケジュールの面で会社に多少譲ることも重要ですが、あくまで退職を行うのは自分本位で行うようにしてください。