うつ病になったときは、会社には必ず報告しなければならないものなのでしょうか。正直言いづらい、できれば報告したくないかも…と感じてしまう人は多いです。
確かに会社に自分がうつ病だと知ってもらうことには、メリットもあればデメリットもあるものです。良かれと思って報告したのに、思いがけず嫌な思いをしてしまった…という状態に陥ってしまう人も中には少なくありません。ですが逆に、勇気を持ってうつ病だと報告したら、思いがけずいろいろな人からサポートしてもらえた…という話もあります。
だからこそうつ病だと診断されたら、会社には報告すべきかどうか迷ってしまいますよね。そこで今回は、うつ病は会社に報告しなければならないものなのかという点を解説しながら、自分の状態を職場の人間に知ってもらうことのメリットやデメリットを紹介していきたいと思います。
うつ病になったけど会社に報告するべき?迷う人は多い
うつ病だと診断されれば、何よりも戸惑うのは自分自身ですよね。これから自分自身がどうなってしまうのか、ますます不安に思う心理を強めてしまう人は多いはずです。
その中の不安の一つとして、会社のことを気にする人はたくさんいるはずです。
「会社に報告したらなんて言われるだろう…」
「むしろ会社には報告したくない。うつ病は隠していていいものなの?」
「会社に報告したいけど嫌な扱いを受けたらどうしよう…」
このような不安や心配の気持ちは常につきまといます。
しかしうつ病と付き合いながら仕事をしていくことはそこまで簡単なことではなく、自分自身の気持ち一つではどうしようもない部分も時としてあります。だからこそ理想を言えば、会社にはうつ病だと報告して、理解を得られるのが一番でしょう。
しかしそうは言っても、「じゃあ報告しよう」とすんなり思えるわけではないのも事実です。うつ病になってしまって情けない、恥ずかしい……そんな心理を持ってしまう人も中にはたくさんいるため、特にそのような人たちにとっては、うつ病を会社に報告することは正直ためらわれるものです。
うつ病を会社に報告することは義務ではありません。ただ、報告にはメリットやデメリットがそれぞれあるため、人によって何を良しとするかは変わってくるものでしょう。まずは、そのメリットとデメリットをよく見極めることが大切です。
うつ病を会社に報告するメリットとは
ではまず、うつ病を会社に報告するメリットから整理していきたいと思います。正直ためらわれることも多いうつ病の報告ですが、会社に伝えることには意外とメリットも多いのでしょうか。それぞれのポイントを見ていきましょう。
上司や同僚の理解を得たうえで仕事ができ気持ちが楽になる
まず、うつ秒を会社に報告すれば、気持ちは非常に楽になるものです。実際にうつ病を会社に報告して良かったと感じている人はたくさんいます。
うつ病だと会社に報告すれば、その報告を通じて自分の事情は上司や同僚に理解してもらえるようになります。確かに腫れ物扱いされるのが嫌だという人もいますが、うつ病でつらい気持ちを抱えている場合は、思い切ってうつ病だと告白してしまった方が張り詰めていた気持ちも緩むものです。
体調が悪いときも、あらかじめうつ病だと会社に報告しておけば、ある程度理解してもらったうえで休んだり勤務時間を短くしたりすることができます。また、会社からいろいろと気を回してもらえて、つらそうにしているときに自分から申し出なくても周りから声をかけてもらえることは増えるでしょう。自分一人でうつ病の症状に悩まずに済む、自分一人で抱え込まずに済むということは、思っている以上に気持ち的に楽なものです。
うつ病を会社に報告すれば休職することも可能
うつ病を会社に報告すれば、それによって休職することも可能になります。基本的にうつ病で本人が希望すれば、休職というかたちでしばらく休むことを受け入れてくれる会社は多いです。このためうつ病でどうしても仕事を続けていくことが大変なときは、休職も視野に入れたいところです。
ただ、自分から上司に休職したいと申し出るのは、どうしても気が引ける心理もあるものです。甘えていると言われたらどうしよう、何も会社に貢献していないのに申し訳ない…そんな心理に駆られてしまう人はたくさんいます。特に真面目な性格の人ほど、そういった心理に悩まされることは多いです。
ですが会社にうつ病だと報告しておけば、上司の方が気を遣ってくれて、休職の選択肢を提案してくれる可能性もあります。
辞められず悩んでいた人にとっては追い風になる可能性も
うつ病になったせいで会社を辞めたいと思っていた人にとっては、いきなり辞めたいと言うより、先に会社にうつ病だと報告した方が辞めやすくなることもあります。
いきなり辞めたいと言われれば、会社もせっかくですから引き止めてくることは多いです。人手不足の会社なら、特にいきなり人員が欠けるのは避けたいところでしょう。
ですがうつ病になったというのなら話は別です。うつ病は立派な心の病なので、会社はさすがに無理やり働かせるわけにはいかない…という心理になるものです。そのうえで退職の意思を伝えれば、辞めやすくなる可能性は高まります。
うつ病を会社に報告するデメリットとは
では次に、うつ病を会社に報告するデメリットやリスクについて考えてみましょう。うつ病を会社に報告する際は、以下のような注意点を理解しておく必要があります。
うつ病だと知られるのは恥ずかしいと感じる人も多い
やはりデメリットとして気になるのは、うつ病になったことを恥ずかしいと感じる心理ではないでしょうか。その他、情けない、周りと比べて自分はみじめだという心理は多かれ少なかれあるでしょう。
うつ病だと会社に人に知られることは、とらえ方によっては自分は弱いと告白するようなものかもしれません。自分の弱い部分をさらけ出すことはとても勇気のいることで、誰だってできることなら弱い部分はさらけ出したくないものです。
うつ病だと会社に報告したことで、会社でいづらくなってしまうかもしれない、周りの目を今まで以上に気にしてしまうかもしれない…そんな心配をしてしまう人は多いです。そのためうつ病だと診断されて、すぐには報告しない人も意外とたくさんいます。
上司に「甘えている」と怒られるかもしれない不安もある
残念ながら、うつ病を「甘え」だととらえる人もたくさんいます。
うつ病のつらさをわかってほしくて会社に報告したつもりだったのに、上司から「甘えている」と言われて叱られるのはあまりに不本意なことですよね。そんな状況を心配してうつ病になったことを会社に報告できず悩んでしまう人はたくさんいます。自分の周りが仕事に一生懸命なバイタリティーあふれる人ばかりだと、確かにそのような不安はよぎるものです。
自分は仕事したいのに休職・退職を勧められる可能性も
うつ病だと会社に報告したことで、休職や退職を勧められる可能性もあるでしょう。
確かにうつ病になったときの対処として休職することは選択肢の一つですが、休職すれば当然収入の心配があります。うつ病による休職中も傷病手当金という手当をもらうことはできますが、もらえる額は給料の60%ほどの額です。生活に困ってしまう人も当然ながらいるでしょう。退職も同じです。
だからこそ生活に困るかもしれないことにリスクを感じて、「会社に報告したら休職・退職を勧められるかもしれない…そうなったら生活費はどうすればいいんだ…」と悩んでしまう人は多いです。そのため、つい会社にうつ病になったことを隠してしまうのです。
うつ病を会社に報告するときのポイント
ではここからは、うつ病になったことを会社に報告するときのポイント・伝え方を整理していきたいと思います。
会社にうつ病を報告するときは診断書を用意する
うつ病だと報告する際には、なるべく病院に発行してもらった診断書を用意するようにしましょう。診断書がなければ口だけの報告になってしまうため、特に休職や退職を申し出たいときには効力がなくなってしまいます。
そのため、うつ病になったことを報告してから診断書を用意してくれと言われるのでは、二度手間になるでしょう。休職や退職を視野に入れるなら、あらかじめ診断書を用意しておきたいところです。
自分は今後どうしたいのかという意思も含めて上司に相談する
大事なのは自分の意思です。うつ病を会社に報告するときは、今後どうしたいのかということも含めて相談すると良いでしょう。
・うつ病だが、仕事は今まで通り続けたい
・うつ病なのでできればしばらく休職したい
・うつ病なので会社を退職したい
など、先に自分の意思を明らかにしてから報告すると良いでしょう。具体的に自分の意思を伝えれば、会社もしっかり相談に乗ってくれるはずです。
会社に報告すべきか迷ったら担当医師の指示を仰ぐのも大事
会社に報告すべきか迷ったら、通院している病院の担当医師や、カウンセリングを受けている担当の心理カウンセラーなどに指示を仰ぐのも良いかもしれません。本当にまずい状態なら、自分自身は報告するつもりはなくても、先生の方から「休職した方がいい」と言ってきてくれる場合もあります。
心理カウンセラーの場合、言い方や、どうすればうつ病と報告した状態で会社の人とうまく接することができるかという点も相談に乗ってくれるでしょう。
まとめ
うつ病になったとき、迷うのは会社に報告すべきかどうかという点ですよね。つらいからこそ迷わず報告したいと思う人もいるかもしれませんが、さまざまな不安要素があるからこそ報告したくないと感じる人もいるはずです。
実際、会社にうつ病になったことを報告するのにはメリットもデメリットもあるものです。まずは会社にうつ病と報告すればどうなるのかという点を冷静に考えて、今後自分はうつ病と闘いながら仕事とどう向き合っていきたいのかということも含め、会社に報告すべきかどうかを判断していきましょう。