「退職しやすい時期なんてあるの?」と思うかもしれませんが、実際に会社として退職を受け入れやすい時期というものはあります。もちろん、この時期に無理に合わせる必要はありません。退職したい時期がすでに決まっていれば、その時期に退職するのが1番。ただ、決まっていなければ退職時期に悩むこともあるでしょう。
そこで本記事では、「なんとなく退職しようとは思っているけれど、時期までは決めてない」「どうせ退職するなら受け入れられやすい時期にしたい」と考えている方向けにスムーズに退職できる時期を解説。円滑退職のために大切なこともまとめているので、退職を考えている人は必見です。
【退職するなら何月?】退職に適した時期とは?
一般的に、退職しやすいとされている時期は12月末と3月末です。しかしこれは、公的な手続きやボーナスなどを考慮して推奨されている時期であり、他にも退職におすすめなタイミングはあります。業種や会社によってさまざまですが、他の時期より比較的スムーズに退職できる時期といえるでしょう。
閑散期
どのような企業であっても繁盛期と閑散期があるもの。そして、繁盛期に比べると閑散期の方が退職しやすいのは違いありません。
閑散期は業種によっても異なりますが、外食・小売業界であれば1月・2月・8月、不動産業であれば5月・8月だとされています。この時期に退職すれば、「忙しいからもう少しいて」などと引き止められる可能性も低いです。比較的スムーズに退職できるでしょう。
後輩の育成が完了した時
自分より後に入社した後輩が、ある程度1人で仕事ができるようになったタイミングも退職しやすい時期といえるでしょう。その後輩が同じ業務を担当していたり、自分が育成していたりすると引き継ぎも容易なのでお互いの負担も軽減されます。
すでに人手不足は回避できているので、円滑に送り出してもらえるはずです。
ボーナスの支給後
「退職するのにボーナスを受け取ってもいいの?」と申し訳ない気持ちになる人もいるかもしれません。しかしボーナスとはこれまで働いてきた期間の賞与であり、簡単に言えばご褒美のようなもの。すでに働いた期間の賞与なので、たとえ退職の予定があるとしても受け取るのは当然の権利といえます。
ただ、退職の意思を伝えるのはボーナスを受け取ってからにしてください。通常であれば退職を伝えた後でもボーナスは支給されます。しかし、一部のブラック企業や個人経営の会社だと、「辞めるなら支給できない」と告げられることも考えられます。
このような事態を避けるためにもボーナスの支給後に退職願を提出するようにしましょう。
【退職するなら何月?】退職後どう過ごすかを考えて時期を決める
退職後どのように過ごすかによっても最適な退職時期は変化します。退職後は主に、転職・フリーに転身・休暇をとるなどの3種に分かれるでしょう。退職願を提出する前に、退職後どのように過ごすかを考えて退職時期を決めてみてください。
転職する場合
ひとことで転職するといっても、すでに内定を受け取っている場合と、これから転職活動を行う場合があります。
すでに内定を受け取っているのであれば、転職先の就業開始日から逆算して退職日を決めましょう。書類の手続きなどがある場合は、準備期間をプラスすることを忘れずに。予定を詰め込みすぎると息をつく間もないということになりかねません。退職の決意を固めた時点で、これからの予定を組んでおくとスムーズな転職ができます。
これから転職活動を行うのであれば、求人数が増える時期を選ぶとよいでしょう。業種にもよりますが、基本的に2月〜3月は求人が増えるとされているのでおすすめ。ただ退職してすぐに転職活動に移るのは大変なので、少し余裕をもって退職しておくと安心です。チャレンジしたい職種があるのなら、事前に求人が増える時期を調査して退職時期を決めましょう。
転職活動期間中は失業手当を受け取れるので、雇用保険についても確認しておいてください。
フリーに転身する場合
退職後フリーランスに転身しようと考えている人もいるのではないでしょうか。フリーランスになると、これまで会社が行ってくれていた手続きも自分で行わなければなりません。その中でも特につまずきやすいのが確定申告。
確定申告には、国が定めている提出期限があります。確定申告についての知識がなく、書類の整理も不慣れであれば短期間で作成することは困難。来年度のためにも、確定申告が終わった3月末の退職をおすすめします。
この時期は新入社員の教育など人手が必要なこともあるので、頼りにされないよう早めに退職を申し出るとよいでしょう。
またフリーランスに転身すると税金や年金、健康保険の手続きも行う必要があります。役所や税務署へ提出する書類を揃えることも忘れないようにしてください。
休暇をとる場合
長く働き続けた自分を労わるため、休暇を楽しむ人もいるでしょう。このような場合、退職時期の目安はありません。もし休暇中に旅行へ行く予定などがあれば、ホリデーシーズンを避けると旅先で快適に過ごせるのでおすすめ。
閑散期などを選んで退職することで、自身にも会社にもよいかもしれません。
ちなみに、休暇を取る場合でも申請をすれば失業手当を受け取ることができます。退職前に離職票を会社から発行してもらえるよう、申請しておきましょう。
【退職するなら何月?】退職は12月〜3月までの期間がおすすめ
特に事情がなければ、12月〜3月の退職がおすすめです。この時期は退職を願い出る人も多く、企業もある程度人員が減ることを覚悟しています。そのため先を見越して求人を出し、新人を確保している場合も多いです。
12月末には年末調整、3月には確定申告があるので、退職者でも会社が行ってくれるか事前に確認しておいてください。タイミングによっては断られる可能性もあるため、手続き終了後に退職を申し出ると安心です。
【退職するなら何月?】円滑に退職するために注意すること
「退職するなら何月がいいかな…」と考えている人の多くは、円満退職を目指しているでしょう。もちろんよほどの事情がなければ円滑な退職を目指すべきであり、その考えに間違いはありません。
しかし知らないうちにマナー違反な行動を起こし、無用なトラブルを招いてしまうこともあり得ます。知らないが故のトラブルを引き起こさないためにも、円満退職のための大切なポイントをチェックしておきましょう。
辞意を固めてから相談する
辞意をしっかりと固めてから上司へ報告することは大切なことです。衝動的に退職を決めてしまうのはよくありません。まずは「どうして辞めたいのか」「辞めなければならないのか」「他の解決法はないか」などじっくり考えてみてください。その上で辞めたいという気持ちがあるのであれば、退職願の作成に取り掛かりましょう。
面談の際は意思をぼかして伝えるのではなく、はっきりと言い切ってください。相談だと受け取られると、そこから先の手続きが行われないこともあります。要点をまとめて、不明瞭な部分が残らないように話し合いを進めることが大切です。
会社の規則に沿って退職の手続きを行う
どのような会社であっても社内の規律を守るため、就業規則が設けてあるものです。就業規則には退職に関する決まりが定められている場合が多いので、退職を決めたら最初に確認しておきましょう。
規則に従ってきちんと手続きしていれば、トラブルになることはほとんどありません。その上で退職願や退職届を提出する際など、ビジネスマナーを守ることも大切です。書類提出の際は封筒に入れることも忘れないようにしてください。
社内あいさつや業務の引き継ぎは完璧に
社内あいさつや業務の引き継ぎは、円満に退職するための大切なステップ。
特に引き継ぎ業務を行う際は、「会社に引き継ぐ」という意識をもってわかりやすくまとめておきます。抜けがないように細部にも目を配って、最後の見直しも忘れずに行いましょう。完璧に行っておくことで退職後に反感をかうリスクを避けることができます。
そして退職日当日に行う最後のあいさつも丁寧に。時間を作ってもらえることもあるので、感謝の言葉を伝えましょう。うまく話せなくてもよいので、気持ちが伝わるように心から告げることが大切です。
【退職するなら何月?】退職時期に決まりはない
ここまでは退職しやすい時期について解説してきましたが、忘れてはならないのが「退職時期に決まりはない」ということ。契約社員・有期の正社員であれば契約が満了する時期に退職を願い出るのがマナーですが、通常の正社員ですと時期の決定は個人で行っても構いません。
時間は有限ですからあまり時期に縛られず、退職したいと思った時期に行動するのが大切な時間を失わないためのコツ。きちんとした手順を踏めば円満退職はどの時期でもできるということを念頭に、退職したい(しなければならない)時期を見極めましょう。
まとめ
退職におすすめな時期は12月〜3月、もしくは閑散期などがあげられます。しかし、必ずこの時期に退職しなければならないということではありません。事情があれば、いつ退職をしても大丈夫。正当な手続きを行い、マナーを守っておけばどの時期でも円満退職はむずかしくありません。
自分に合った時期に行動するために、まずは退職までに行うことや退職後チャレンジしたいことをリストアップしてまとめてみましょう。その上で自分に合った退職時期を見出していってください。