どのような雇用形態であっても、退職を決めたら上司に相談をして退職を承認してもらう必要があります。
退職の相談は対面で行うのが一般的ですが、「上司がパワハラ気質で怖い」「気が弱くて言い出せない」などの理由で、退職についての相談を対面ではなくメールやラインで伝えたいという人は少なくありません。しかし実際のところ「本当にメールで伝えてもいいの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
本記事はそのような悩みを抱えている人のために、退職の相談をメールでしてもいいのか?について解説します。退職したいのに言い出せない…と悩んでいる方は必見です。
退職の相談をメールでするのは原則NG
基本的に退職の相談は対面で行うのがマナーです。しかしメールでの連絡が全面的にマナー違反かというわけでもありません。
例えば面談のアポイントメントを取る際や、やむを得ない事情があって出社ができない場合は、メールで連絡しても大丈夫。ほかにも上司もしくは自身が多忙で、なかなか会う機会がない、勤務形態が特殊なため直接会える機会がないなどの場合もアポイントメントを取るだけならメールでも構いません。
メールで退職に関する相談ができるのはどのような時?
アルバイトであれば、メールで「退職したい」と伝えるだけで退職の手続きを取ってもらえることが多いです。もちろんマナー違反ではありますが、その所為で退職させてもらえないことはほぼないでしょう。
しかし正社員の場合そう簡単にはいきません。やむを得ない事情がない限りは、面談を行い、退職日の決定や有休消化の目処を調整する必要があります。相談しなければならない点や調整することも山ほどあるので、アルバイトのように簡単に退職するのはむずかしいのです。
そのためメールで相談できるのは、下記の場合のみ。非常識だと思われないよう、事前に確認しておきましょう。
面談の約束を取り付ける時
先ほども触れましたが、面談日時のアポイントメントを取る時はメールを利用しても構いません。
ただしアポイントメントを取るためのメールには、「退職」の文字を入れないようにしましょう。退職の相談と伝えてしまうと上司が身構えてしまいますし、失礼にあたる場合もあります。「折り入って相談があるのですが…」というように、あくまで「相談」の体で連絡するのが一般的です。
また面談の時間帯は、就業時間外を選ぶのがマナー。就業中は上司も自分の仕事を行わなければならないものです。迷惑をかけないよう、就業時間は避けて約束を取り付けましょう。
やむを得ない事情がある時
「病気で退職を決めた」「長期入院をしなければならない状況にある」「精神を病んでしまった」など、やむを得ない事情でどうしても出社ができないという場合は、メールで連絡しても問題にはなりません。
治療に時間がかかる病気かつ、本人が入院中など動けない状況であれば、尚更納得してもらえるはず。
ただし、対面とは違い伝わりづらいことがあったり勘違いが起こりやすいので、マナーを守って丁寧な文章で作成することを心がけましょう。
退職の相談をメールでする流れ
ここでは、上司にメールで面談のアポイントメントを取る時の流れをご紹介します。上記のようなやむを得ない事情がない場合は、この流れで退職するようにしましょう。
直属の上司に連絡を入れる
辞意がしっかり固まったら、直属の上司へメールでアポイントメントを取ります。こちらが面談時間を選べるのであれば、必ず就業時間外を選ぶのがマナーです。面談のアポイントメントは口頭で取っても構いませんが、気が弱くて言い出せないと悩んでいる人はメールで相談するのがおすすめ。言わなければならない状況に自分を追い込むことで、なかなか退職できないという状況を避けることができます。
上司と面談を行う
面談のアポイントメントが取れたら、次は面談です。周囲の目があると話しづらくなるので、面談は必ず2人きりで行いましょう。できれば個室に移動して話し合いをするのがおすすめ。
会社の規則で「退職願」の提出が義務化されていれば、この時手渡しで上司に提出します。
トラブルを避けるためにも、直属の上司以外の社員には退職届が受理され、正式に退職が決定するまでは退職の話が漏れないようにするべきです。
退職届を提出する
相談後、上司や会社から退職が承認されれば後日「退職届」を提出します。退職願と同様に、直属の上司に手渡しで提出しましょう。
会社が「退職届」を受理した時点で、正式に退職が決定します。
退職の相談メールはいつ・誰に送る?
退職に関する手続きは流れがあるので、退職の相談メールを送るタイミングも大切。企業によっては「退職日の〇ヶ月前には退職届を提出する」といった規則が設けられている場合もあります。このような場合はネットの情報を鵜呑みにせず、規則に従ってください。
退職の相談メールを送信する前に自社の規則について確認しておくと良いでしょう。
退職希望日の2ヶ月前には直属の上司へ相談を
正社員の場合、業務の引き継ぎや有休消化など、退職日までにやっておかなければならないことが数多くあります。その後の業務を考えると、退職希望日の2ヶ月前までには面談を行っておきたいもの。退職届を提出する期限が定められている場合は、提出までにかかる時間を逆算して、早めの行動を取るように心がけてください。
また上司が頑固な人だったり、パワハラ気質であれば説得に時間がかかる可能性もあります。転職先がすでに決まっている場合は、内定に響かせないためにも、少し早めに伝えておくとよいでしょう。
就業時間を避けて送信する
退職の相談メールは、就業時間を避けて送信するようにしてください。自分が休日の場合でも上司が就業中であれば、避けた方が無難です。
休憩時間に送信するのはマナー的な問題はありませんが、その後上司と顔を合わせる予定があればあまりおすすめはできません。顔を合わせると大勢の前で事情を聞かれるリスクがあるためです。
相談メールは就業終了時間後など、できるだけ上司と会う可能性が低い時間帯を選ぶとよいでしょう。
退職相談メールのテンプレート
相談メールはマナーを守ってと言うが、退職をしたことがないのでピンとこないという人もいるでしょう。そこで、場面別で使えるテンプレートについてご紹介します。
ただ、あくまでテンプレートなので参考程度にし、必要に応じて変更しながら使ってください。
面談の約束を取り付ける時の文面
面談のアポイントメントを取るためのメールはあくまで「面談をする時間を作って」という依頼をするためのもの。そのため「退職」の意思はメールの文面に入れないようにします。
基本的に就業時間内に退職の面談を行うのはよくありません。ただ上司が希望する時間帯が就業時間内であれば、その指示に従ってください。
<テンプレート>
件名:ご相談の件
〇〇(上司の名前)部長(役職)
お疲れ様です。〇〇(自分の名前)です。
お忙しい所申し訳ございません。
折り入ってご相談したいことがあるのですが、20分ほどお時間をいただけないでしょううか。
お忙しい中恐縮ですが、何卒よろしくお願い致します。
体調不良で退職する場合の文面
病気など体調不良で退職する場合は、面談のアポイントメントを取るメールとは異なり、「相談」ではなく「報告」という形の文章を作ります。ここで報告するのはあくまでも「退職する意思が固まった」ことであり、退職自体の報告ではないので注意してください。メールで報告する場合でも、退職までのフローは面談で報告する際と同じなので、こちらが「退職するから!」と伝えるだけでは退職はできません。
体調不良で出社できないのであれば、上司と面談を行うことはもちろん、手続きのために出社することさえ困難な可能性が高いでしょう。しかし出社できなくとも退職に関する相談はしておかなければなりません。
どうしても対面で話し合いができない場合は、電話やビデオ通話などで対応してもらえるよう交渉します。
手渡しにせよ郵送にせよ、要求された時に慌てないよう会社に提出する「退職願」や「退職届」は退職を決めた時点であらかじめ作成しておくとよいでしょう。
<テンプレート>
件名:ご相談の件
〇〇(上司の名前)部長(役職)
お疲れ様です。〇〇(自分の名前)です。
お忙しい所申し訳ございません。
メールでの連絡が失礼なのは承知の上ですが、この度〇〇(退職事情)により退職いたしたく、ご報告申し上げております。
つきましては、退職のお手続きについてご相談させていただきたいと思っております。
お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願い致します。
まとめ
事情によっては退職の相談をメールやラインで行いたい、行わなければならないという機会もあるでしょう。ビジネス上のやりとりかつ退職というナイーブな内容ということから、苦手意識を持ってしまいがちですが、マナーを守って文章を作成することで顰蹙をかうこともなく、円滑に面談までの手続きが進むはずです。
面談のアポイントメントを取るのは退職までの第一歩でもあるので、その後の手続きをスムーズに進められるように送信するタイミングも大切。会社がどのような規則を設けているかにもよりますが、退職日までのスケジュールを先読みして早めの対応を心がけましょう。
退職の手続きや退職までの業務は大変ですが、ここが踏ん張りどころでもあります。退職のための第一歩を踏み誤らないよう、マナーと規則を守って円滑に退職してくださいね。