せっかくアルバイトを始めたけれど辞めざるを得ない状況になってしまうというのはよくあることですが、バイトを辞める際には口頭で伝えるだけではなくてきちんと辞表を渡すのがおすすめです。
学生でアルバイトをしている場合には、だんだんゼミや卒論の準備が忙しくなってきてバイトを続けられないといった状況が出てくることがあります。
雇用しているほうも相手が学生であることを承知しているわけですから、辞めることになってもそれほど心苦しい思いをする必要はないはずです。
バイト先にはどうやって辞表を渡したらいいのか、辞表はどう書いたらいいのかなど細部にわたって詳しく見ていきましょう。
直接バイト先に辞表を渡すのが本来のマナー
辞表は、本来はバイト先の上司に直接会って手渡すのがマナーです。
口頭でバイトを辞めることを伝えてもいいのですが、書面として形が残らないため、辞めるという意思表示をいつしたのかを上司が思い出せないことがあります。
また、バイトを辞めることは承諾したけれどもその件を経理の担当者に伝えるのを忘れてしまう可能性もないわけではありません。
働いている人の数が多くて仕事が忙しい職場ではこういったことが起こりがちですから、バイトを辞めると決めたら辞表を書いて提出しておくのが一番です。
辞表を渡す時にはいきなり前置きもなく上司に手渡すのではなくて、「今、お時間よろしいでしょうか」などと最初に尋ねれば礼を失することがありません。
辞表の中に退職希望日理由が書いてあるとはいえ、口頭でも「学業が忙しくなってきましたので、◯月◯日に退職させていただきたいと思います。今までお世話になりありがとうございます」程度の言葉は添えるのが最低限のマナーです。
やむを得ない理由で直接辞表を手渡すことができない時は郵送またはメールで辞表をバイト先に送ります。
次に郵送で辞表を送る場合とメールで送信する場合の注意点を見ていきましょう。
郵送でバイト先に辞表を送る場合
バイト先の人とのウマが合わなくて無断欠勤をしてしまい、そのままズルズルとバイトを休んでしまうはめになった場合には直接上司にあって辞表を渡せないというケースも出てきます。
そんな場合には郵送でバイト先に辞表を送るのが一案ですが、この場合にはせめて電話をしておくことをおすすめします。
というのも、雇用期間の定めがないアルバイトでは退職希望日の2週間前までに退職の意思を伝えることと民法で定められているからです。
この決まりを違反するとペナルティが課せられる危険がまったくないわけではないので、まず電話で退職の意思を表明し、バイト先の合意を得た後に辞表を送る方が安全です。
郵送で辞表を送る際の注意点
辞表は書いたらそのままポストに投函ではNGです。
郵送した証拠が手元に残るように、最低でも書留にして郵送するようにしましょう。
バイト先とトラブルを起こしている場合には書留でも不十分なので、「内容証明」を付けて送ります。
内容証明郵便というのはいつ、誰がどんな内容の文章を誰宛てに差し出したかということを郵便局が証明する制度のことです。
内容証明で辞表を出した場合、内容文章は謄写されて差出人本人と差出郵便局が保管します。
普通の書留で辞表を郵送した場合には文書の内容どういうものであったかを証明することができません。
このため、バイト先に後から「確かに手紙を受け取ったけれども退職の意思は聞いていない」と嘘をつかれても反論のしようがないわけです。
バイトには行ったけれども職場の雰囲気が悪い、あるいは悪質なイメージを抱いたために行くのをやめてしまった場合などには内容証明で辞表を郵送しておけば間違いありません。
内容証明郵便はすべての郵便局で受け付けているわけではなく、「集配郵便局」か「支社が指定した郵便局」でしか送ることができませんので注意しましょう。
内容証明郵便の料金は基本料金に一般書留の加算料金と内容証明の加算料金(440円・2枚目以降は260円増)を加えたものになります。
メールでバイト先に辞表を送る方法もある
職場の雰囲気が合わないというわけではないけれども、家族の介護をしなければならなくなった、あるいは学業が忙しくなってきてバイトを続けるのが難しくなったので穏便に退職をしたいと言うのであればメールで辞表を送ってもかまいません。
メールもいつ、どんな内容の書面で誰が誰宛てに送信したかなどの履歴が残っていますので、上司に直接会わずにとりあえず退職の意思を表明したい時にはおすすめの手段です。
メールでこれまでにお世話になったことに対する感謝の気持ちなどを付け加えれば円満に退社することができますし、礼を失することにもなりません。
バイト先に出す辞表【例文】
バイト先に提出する辞表は書式が決まっていますので、あまり深く考える必要はありません。
インターネットなどで検索したテンプレートを参考にすれば簡単に作成できますので、できるだけ早く着手することをおすすめします。
尚、辞表というのは会社の役員など一部の上級職や公務員が退職を希望する時に提出するものなので、アルバイトの場合は辞表ではなく「退職願」か「退職届」を出すのが正しいという意見もあります。
例文1・郵送の場合
郵送の場合の辞表の書式はかなりシンプルで文字数も少ないので、字面が偏らないようにバランスをよく見ながら作成しましょう。
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退職願
このたび、一身上の都合により、誠に勝手ながら◯◯年◯月◯日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
◯◯年◯月◯日
△△(自分の氏名)
株式会社◯◯
代表取締役社長 ◯◯殿
ーーーーー
タイトルは「辞表」ではなく「退職願」または「退職届」とし、大きめのフォントで中央揃えにすると字面がすっきりします。
辞表では「◯月◯日に退職したいのか」が非常に重要なので、忘れずに明記します。
手紙は手書きが望ましいのですが、字が下手で恥ずかしいという人はパソコンで作成すれば間違いありません。
内容証明で出す場合には字数に細かな制限がありますので、これを配慮しながら作成しましょう。
字数の限度は縦書きの場合「1行20字以内・1枚26行以内」、横書きなら「1行20字以内・1枚26行以内」「1行13字以内・1枚40行以内」「1行26字以内・1枚20行以内」のいずれかでないと受け付けてもらえません。
用紙の大きさや筆記用具の種類には特に規定はありませんが、A4用紙に黒のボールペンか万年筆が標準です。
封筒に関しても大きさや種類に決まりはありませんが、受取人と差出人の住所・氏名は内容証明の「通知人」・「被通知人」欄と同じでなければなりません。
つまり、封筒では受取人の住所を「◯◯町3丁目16番22号 ◯◯マンション103号室」としているのに、通知人欄に「◯◯町3-16-22-103」と書いても受理されません。
例文2・メールの場合
メールで辞表を送信する場合は郵送の手紙とは違い、入社以来お世話になったことに対する感謝の言葉なども付け加えるのが礼儀です。
ーーーーー
件名:△△(自分の氏名)です。退職のご相談
本文
◯◯課長(または◯◯さん、◯◯店長など状況に応じて)
お疲れ様です。アルバイトの◯◯(氏名フルネーム)です。
突然で大変恐縮なのですが、一身上の都合で◯月◯日にアルバイトを辞めさせていただききたいと思います。
本来であれば直接お会いした時に口頭でお伝えするのが筋なのですが、シフトの時間の関係でお会いするのがなかなか難しいのでとりあえずメールをお送りさせていただきました。
◯◯課長には仕事の初歩からていねいに教えていただき、大変感謝しております。
3ヶ月という短い期間でしたが、職場で学んだことは今後の人生を歩んでいく上で大きなプラスになることを確信しております。
退職日までにアルバイト業務の引継ぎを済ませなければなりませんが、シフトの件も合わせて次回のシフト時に直接ご相談できればと思っております。
◯月◯日以外でもご都合のよろしい日時を教えていただければ助かります。
お忙しいところ恐縮ですが何卒よろしくお願いいたします。
◯◯(自分の氏名)
ーーーーー
辞表に比べるとメールの方が文章が長いので、文章を書くのが苦手な人にとってはちょっと大変かもしれませんが、テンプレートなどを参考にして書いてみましょう。
辞表メールを書き終わったらそのまますぐにバイト先に送信してしまわずに、2回ぐらいじっくりと読み直しって誤字や脱字・不適切な表現がないかどうか確認します。
バイト先の担当者に辞表メールを送信するのはいつでもいいというわけではなく、相手がスマホやケータイでメール受信をしていることも想定して平日の午前9:00から午後遅くても20:00頃までに送信するようにします。
まとめ
バイトは正社員とは違って数ヶ月間、長くても1年程度の仕事がほとんどですが、だからといって退職手続きを曖昧にして消え失せるのはやめたいものです。
運命が巡り巡ってまたその会社にお世話になる可能性が全くないとは言えないのですから、辞める時には辞表をきちんと提出するなどできるだけマナーにのっとって円満退社することを心がけましょう。
LINEで退職の意向を表明する人も最近は多いようですが、LINEはあくまでもメッセージを送るツールであって、正式な書類を送るには適していません。
電話を使って伝える方法もありますが、音声だけでは希望退職日を聞き間違えられる可能性もあります。
電話では後で読み返せる書面として残らないので、退職手続きをきちんと行いたい人にはやはり手紙かメールがおすすめです。