院卒ニートという言葉は、各種メディアによって多くの人に知られつつある言葉です。この言葉は、大学院を出た後、働かずに親の扶養を受けて生活している人のことを示しています。
大学院を出たのにニートをするはずがない、と思う方もいるかもしれません。しかし、大学院は世間のイメージしているほど就職先に溢れているわけではありません。院卒ニート当事者の方は、そんな世間の認識と現実との乖離に苦しむ方も多いようです。
ここでは、院卒ニートの方が就職する方法をまとめました。院卒ニート当事者の方はもちろん、大学院在学中の方もぜひ参考にしてください。
院卒ニートについて。なぜそうなってしまうのか
院卒ニートになってしまう原因は、大きくわけて3つ存在します。ひとつめは企業側の原因です。ふたつめは大学側の問題。そしてみっつめがその人個人の問題です。それぞれの原因について、詳しく解説します。
院卒ニートになってしまう第一の原因は企業側の問題です。「大学院卒」を求めている企業の多くは、専門的な知識を持っている人を意識しています。
しかし、企業が用意できる専門知識が必要なポストはそう多くなく、結果として就職にあぶれてしまい、院卒ニートになってしまう方が多いようです。
さらに、「院卒」と聞くと企業側の心理的なハードルはどうしてもあがってしまう点も院卒の方がなかなか就職できない理由として挙げられます。
院卒ニートになってしまう第二の原因は大学側、あるいは日本社会です。大学院では専門的な知識を教えるものの、その知識が企業の必要とする知識と離れていることが多いのです。
また、博士課程を歩む人や院卒の方に用意される就職口が少ない点も、院卒ニートが増えてしまう原因になっています。
みっつめの原因が、本人の問題です。何の目的もなく大学院に通っている人の多くが院卒ニートになってしまいます。また、いざ就職の段階になって、院卒であることから職業をえり好みしすぎてしまう点もなかなか働けない院卒ニートが増加する原因といえるでしょう。
院卒ニートが取れる選択肢4つ。学歴を活かすかどうか
院卒ニートというと、年齢は最低でも24歳以上です。まだまだ若い時期ではありますが、それでも通常の大卒と比べると、あまり長い時間は残されていません。
そのため、できる限りはやく行動を起こす必要があります。まずは、自分の学歴を活かせる職場を探すか、逆に学歴のあまり関係のない職場を探すのか、今すぐに決めましょう。ここでは、院卒ニートの方が具体的に取れる方法を4つ紹介します。
専門知識を活かして就職先を探す
専門知識を活かした就職先を探すのは、院卒ニートが取れる最善の選択肢のように見えるかもしれません。しかし、日本社会において院卒の知識を活かせる場所はそうそう多くなく、ポジションの数も少ないため、厳しい道だと言わざるを得ません。
もちろん、院卒ニートを何年か続ける覚悟で就活をするのなら、道が開ける可能性も十分あります。理系であれば製造業の研究開発部門、文系であれば語学力の必要とされるコンサルタント業務などが主な就職先として挙げられるでしょう。
他にも、文系・理系を問わずに大学の教員や講師も就職先のひとつです。とはいえ、いずれの職業ももポストの数が決まっているため、別の就職先も考えて、ある程度保険をかけておいたほうがいいでしょう。
学歴の関係ない職場へ応募する
これまでの学歴を考えず、未経験歓迎の仕事を探すのも手です。具体的には、飲食店、介護業、営業職、プログラマーなどが該当します。
院卒なのに学歴に関係のない職場なんて、と偏見を持ってしまう方もいるかもしれません。しかし、世間的に見ると職歴のない院卒ニートは職歴のある高卒よりも使いづらい、採用しづらいと考えている企業も多いのです。
そのため、一旦は学歴の関係のない場所で生活費を稼ぎつつ、職歴をつけ、自分のやりたいことを見つけてみましょう。
院卒だからというプライドがあるのは理解できます。しかし、職歴なしのまま30代を迎えてしまうと、目指していた就職先に行けないどころか、一般企業にも採用されない事態に陥ってしまう可能性があります。
よって、まずは生活費を稼げる職場を探してみましょう。
公務員への就職を目指す
公務員は、安定した雇用状況と給料が魅力です。院卒ニートから目指せる公務員は、県庁や役場に勤める地方公務員などが挙げられます。
公務員になるためには試験と面接の2つがありますが、ペーパーテストに関しては院卒の学力があれば、勉強することで簡単にパスできます。よって、公務員に就職したい場合の問題は面接のみといえるでしょう。
院卒という時点で書類面の審査はある程度パスできているので、あとは面接でどのように好印象を与えるかが大事になるはずです。特に、「なぜ院卒ニートになってしまったのか」という点をうまく説明する必要が出てきます。
特に目的意識がなく、なんとなく大学院に入り、なんとなく就職しなかったという場合は、うまく理由を取り繕わなければなりません。
加えて、公務員を目指す場合は年齢にも気を付けましょう。公務員になることができるのは30歳以下だからです。準備期間を含めて、自分の年齢を意識してください。
個人事業主を目指す
院卒ニートをすることで得た知識や学習したことを活かして、個人事業主をはじめるのも手段のひとつです。とはいえ、ニートの状態からはじめられる事業はそれほど多くありません。
例えば、webライターで生計を立ててから徐々に受け持つ範囲を大きくしたり、アフィリエイトやYoutuber等の広告収入で稼いだりするのも働き方のひとつです。
なんらかの特技があるのなら、それを活かした事業を興してみるのもいいでしょう。プログラミングができるのならゲームを作ってみたり、イラストが描けるのなら漫画やイラスト本を売ってみたり、パトロンを募集したりといったことができます。
どんな手段で稼ぐにせよ、個人事業主は自分から進んでの行動が求められます。いつか誰かに仕事を与えられるだろう、という待ちの態度ではいつまでも仕事ができないので、その点には留意してください。
院卒ニートの方はまず自己肯定感を育みましょう
院卒ニートの方が就職するための壁になりやすいのが、面接です。書類審査は通るけれど、面接で何度も落とされてしまうという方が少なからずいます。また、院卒ニートを続けてしまう方の多くに共通しているのが「自分から行動ができない」という点です。
面接で落ちてしまう方、自分から行動できない方には共通点があります。それは、「自分に自信がない」という点です。院卒でニートをしている自分が嫌いで、「どうせ自分なんて」と落ち込んでしまう方も少なくありません。
自信のなく、自分が嫌いだと常日頃から思ってしまっている方は、まずは現状の自分を許してあげるのが大切です。そして、自分で自分自身を好きになってあげましょう。このことを、「自己肯定感を育む」といいます。
自己肯定感が生まれれば面接の受け答えもはっきりとしたものになり、次の一歩を踏み出すときも自信を持つことができます。面接をするにしても、個人事業主を目指すにしても、自己肯定感を高めるのが最優先の課題なのです。
自己肯定感を育むためには、小さな目標を立てるところからはじめてください。遊びでも、就活に関することでも構いません。勉強をすることでもいいでしょう。それに対して、ほんの小さな目標を立てましょう。対戦ゲームなら「1回勝つ」就活なら「企業に書類をひとつ送る」、その程度で大丈夫です。
そして、それが出来たら自分自信を褒めてあげましょう。好きな物を食べたり、少し出かけたり、といった行動をとってください。
そして、自分を否定する声からは距離を置きましょう。特に匿名掲示板やSNSといったものからは距離を置いてください。
以上のことを習慣にすると、自分の中に自信が生まれているはずです。「学歴のある自分」ではなく、自分自身を好きになることができるはずです。それが、自己肯定感を育むということなのです。
院卒ニートは偏見を捨て、自己肯定感を持つことが大切
院卒ニートの方は、自己肯定感が低く、攻撃的な人が少なくありません。自己肯定感が低いせいで、他者にに対して不寛容になってしまうのです。自分の知識を振りかざすことによって他者を貶め、時に攻撃的な言葉や態度を出してしまいます。
自己肯定感が低いがゆえの攻撃性は、就活をする際にも職業への偏見として現れます。どんな職業に対しても悪いところばかりに目をやってしまい、結果として働き口がなくなってしまう院卒ニートの方も多いようです。
確かに、どんな職業にも嫌な面や悪い面はあります。しかし、〇〇という職業は~という主語の大きい評判は、そのほとんどが偏見です。院卒ニートという状態のせいで自己肯定感が低くなってしまった方は、こうした偏見をつい信じ込んでしまいがちです。
よって、院卒ニートが就職するためにやるべきことは、まず職業への偏見をなくすことです。そのためには自己肯定感を育み、自分の決定に自信を持てるようにしましょう。自分を愛してあげることができれば、他者を攻撃する必要も、職業の悪口を言う必要もないことに気が付くはずです。
まとめ
院卒ニートという状態を打破したいのなら、就職をするのが一番です。しかし、社会的な状況と院卒への一般人の評価が、院卒ニートの状況を厳しくしています。
とはいえ、学歴はありますし、頑張った経験があるというだけ、ほとんどのニートと比較すると致命的な状況ではありません。
院卒ニートを脱出する場合、のんびりしている時間はありませんが、焦りすぎる必要もありません。まずは自分に出来ることから、ひとつずつこなしていきましょう。