ニートの方が就職しようとしたとき、多くの方が「書けない」と関門になっているのが「自己PR」です。自己PRは履歴書と面接の両方で問われる項目ですから、できる限り内容を決めておかなければなりません。
そこでここでは、自己PRの書き方について、自己PRのポイントを絞り出す方法や、相手に好印象を与える方法について詳しくまとめていきましょう。
書けない!ニートにとって自己PRはすごく難しい
自己PRが書けないという感覚がわからない人もいるかもしれません。確かに、自己PRとは言ってしまえば自分長所を書き連ねて、それが会社にとってどのような利点になるのかを述べるだけです。出来る人にとっては、大した作業ではないと思います。
しかし、できない人にとって、自己PRは非常に大きな問題になるのです。特にニートから就職しようとしている方は、自己PRを書くことができないと悩むことが多いようです。
なぜ自己PRが書けないのかは人によって異なりますが、大きく分けると、その原因は2つあると考えられます。それは、「自信のなさ」と「自己分析の不足」です。
ニートが自己PRを書けない理由の大多数が「自信のなさ」です。自分の長所を考えたときに思い当たるところはあるけれど、自己PRにするほどではないと考えてしまう方がこのタイプです。
ニートの方は人生経験に失敗が多い傾向にあります。また、極端に成功体験が少なく、人から褒められたことも少ないという方もいるようです。そうした人生経験を過ごしていると、自然と自信がなくなってきます。
結果、何らかの技能を持っていたり、人より優れた長所があったりしても、自分よりも上の人を考えたり、人に認められていなかったりするせいで、自己PRに結び付かない人も多いようです。
自己PRが書けないもうひとつの理由が、自己分析の不足です。自己PRできる長所が一切思いつかない、そもそも自分には長所がないのではないかと考えてしまう方がこのタイプです。
このタイプの方は、自己分析が苦手なタイプが多い傾向にあります。自分の優れているところを見つけ出せず、そのせいで自己PRが書けないことも多いようです。
どちらの理由にせよ、ニートの方が自己PRを書くのは簡単ではありません。しかし、それはそう「思い込んでいる」だけで、自己PRを書くのは簡単です。
自己PRが書けないニートへ送る自己PRのポイント
自己PRが書けないのは、自己PRが重大なものだと感じてしまっているからです。そもそも、「履歴書の自己PR欄はそれほど重要ではありません」。
自己PR欄だけで落とされることもなければ、逆に自己PR欄だけで受かることもありません。無数にあるチェック項目のひとつです。なので、まずは肩の力を抜きましょう。
そして、自己PR欄はポイントさえ押さえておけば、ニートでも誰でも書けます。ポイントはたったの3つ。「会社が求めている人間像」と「経験」と「長所」です。具体的に、以下で解説します。
「会社の面接官が求めている人間像」を考える
最も大切なのは、企業がどのような人材を求めているかという点です。それを知るためには、インターネットで面接を受ける企業のホームページを閲覧したり、他にも採用者向けの情報を見たりしましょう。
そして、企業の求める人材の姿と、自分の長所のどこが繋がっているのかを確認しましょう。自分の長所を見つける方法は、下記で紹介しますが、まず重要なのは企業の求める人材を確認することです。
例えば、「熱意のある人材が欲しい」と企業に書いてあれば、「ひとつのことに集中し続けられるという点」が、自己PRを書くにあたって意識しておきたい長所になります。
企業を研究することで、自己PR文を書くときだけに限らず、面接をする際にも活きてきます。また、企業の功績や理念を理解することで、「自分がどれだけ本気でこの会社で働きたいのか」をアピールすることにもなるでしょう。
加えて、企業について知れば、実際に働いてみたらイメージと違った、というようなミスマッチを減らすことにも繋がります。自己PRのために企業研究をすることは、自分のためにもなるといえるでしょう。
派手な経験談は必要ない! 簡単な経験でも充分です
もうひとつ意識しておきたいのが、経験談です。前述して見つけた「長所」を補完する具体例として、経験談を盛り込むと、自己PRの内容がずっと説得力を帯びます。
自己PRに使う経験談というと、どうしても「ボーイスカウトで集団を率いた」ことや、「大会で1位になった」こと、「学年下位から勉強してトップになった」ことなどといった、派手な成功体験を探そうとするかもしれません。
しかし、長所を補完する経験談は本当にささいなことで良いのです。例えば、学生時代に行ったアルバイトで「どんな仕事でも断らずにやった」ということや、「どんな人とも仲良くなれるように意識している」ということでも構いません。
「ひとつのことに集中して続けられる」という長所を補完する経験談を話そうと思ったのなら、「アルバイトで同じ作業をミスなく続けられた」といったごく普通の経験談などで良いのです。
なぜなら、会社にとって、ニートという状態にある人の評価は、正直なところマイナスからはじまるからです。しかし、そうした普通のエピソードをアピールすることで、評価を普通に戻せます。
派手な成功経験はなくとも、普通の経験談ならいくらでもでてくるはずです。会社が求めている人材にあわせたエピソードを、今までの経験から思い出しましょう。
何もない人間なんていない。長所を絞り出しましょう
ニートが自己PRを書く上で最も大切なのが、長所を見つけることです。しかし、先述したようにニートはどうしても自己評価が低くなりがちで、自分の長所なんてない、自分は何もない人間だ、とふさぎ込んでしまう方も多いと思います。
断言しますが、長所のない人間は存在しません。仮にどんな挫折を続けたニートでも、必ず自己PRするに値する長所が存在します。ほとんどの人は、それを見つけられないだけです。
では、どうすれば長所を探せるのでしょうか。答えは簡単です。まずは、自分が短所だと思っている部分を探しましょう。「行動力がない」「指示待ち人間」「怠惰で動かない」「短気」など、自分が思う、自分のダメな部分を出してみましょう。ニートになった原因でも構いません。
自分が短所だと思う場所が見つかったら、それをそのまま長所に言い換えてください。先ほどの例でいえば、「思慮深い人」「人の指示をよく聞く人」「効率の良い方法を見つけようとする人」「情熱的な人」など、短所は長所になりえます。
この方法であれば、簡単に長所を見つけることができます。もちろん、相談する人がいるのなら、その人に自分の長所を見つけてもらうのもいいでしょう。
自己PRが書けないニートにおすすめな構文
「会社の求めている人間像」と「長所」、それを補完する「経験談」が揃えば、あとは定番の構文に当てはめて書くだけで自己PRは完成します。
自己PRに用いられる定番構文は簡単です。まずはじめに、長所を述べます。このときに述べる長所は、会社の求める人間像に近い長所が適切でしょう。次に、それを補完する経験談を述べます。そして最後に、入社したら自分がどのように役立つのかを述べてください。
まとめると、自己PR文で書くべきことは「長所」「経験談」「まとめ」だけです。例えば、「集中力がある」ということをアピールするのであれば、自己PR文は以下のようになります。
「私の長所は集中力があるということです。子どものときから1日中本を読んでいるということも多く、ハードカバーの本も1日で読み終わってしまうことも少なからずありました。
また、アルバイトをはじめてからは店長によく集中力があって助かるね、と褒められていました。実際に、棚卸しの作業でミスをしたことは1度もありません。
貴社で働くことができれば、持ち前の集中力を活かして、常に高いモチベーションを持ってミスなく業務に従事していきたいと考えています」
例文のような構文は自己PR文としては平凡です。しかし、ニートにとっては「普通」であることをアピールすることが何より大切なので、あまり奇天烈なことをしないほうがいいでしょう。
ニートでも自己PRはできる。必要なのは「普通である」とアピールすること
ニートの自己PRは難しいと感じるかもしれませんが、決してそんなことはありません。なぜなら、自己PRは決して非凡な才能や経験を披露する場所ではないからです。
もちろん、他人に自慢できるような立派な経験や、他者から褒められるような功績があるのならそちらをアピールするべきです。しかし、ニートになってしまった方の多くはそうした経験を持ちません。
言ってしまえば、ほとんどのニートの方にとって、自己PR欄とは「自分がこれだけ優れている」というアピールの場ではなく、「自分は普通の社会人としてやっていける」というアピールの場なのです。
繰り返しになりますが、企業にとって、ニートを雇う際の一番困ってしまうことは、仕事をはじめてすぐに辞められてしまうことです。業種によっては、全く仕事ができないこと、人と全く関われないことも懸念されています。
自己PR欄は、上述したような企業の懸念を払しょくする格好の場所です。自己PRが書けないという方の多くは、自己PR欄を、あたかも自分がどれだけ優れているか誇示しなければいけない場と考えています。しかし、それは違います。
繰り返しになりますが、ニートにとって、自己PR欄「自分は普通です」とアピールする場です。普通であるということをアピールするだけなら、それほど難しいことではないと思います。
まとめ
ニートが履歴書を前にすると、最も頭を悩ませてしまいやすいのが自己PRです。これが関門になって、本格的な就職活動に乗り出せないニートの方もいます。
しかし、「普通」をアピールする場だと考えれば、自己PRは難しいものだと考えられるはずです。肝心の文章も、「長所を述べる、それを補完する経験談を述べる、企業が自分にどう役立つのかでまとめる」の流れで簡単に掻けます。
自己PR文は、あくまでも就職を決める上での要素のひとつに限りません。おざなりに書きすぎるのも問題ですが、あまり思い詰めてもなかなか進みません。必要以上に悩まないようにしましょう。