場合によっては一緒くたにされやすい、ニートとフリーター。この両者には、どういった違いがあって、どこに共通点があるのでしょうか。
自分はニートなのかフリーターなのか、判断に迷うこともあるでしょう。また、ニートもしくはフリーターを続けていくなら、それぞれのメリットやデメリットについても理解を深めておきたいところです。
そこで今回は、ニートとフリーターの違いや共通点について触れながら、それぞれのメリットとデメリットを解説していきたいと思います。
ニートはフリーターと同義ではない
まず、人によっては「どちらも同じ」ととらえている人も多いかもしれませんが、ニートとフリーターは同義ではありません。ニートとフリーターにはそれぞれどんな定義があり、どんな違いがあるのでしょうか。
ニートは仕事をしていない若者
ニートは、仕事をしていない15歳~34歳の若い人のことを指します。ただしこの時、学生は除きます。
20歳で学校にも通っておらず、アルバイトもしていない、毎日好きに遊んでいるだけ……という人はもちろんニートに該当します。30歳で就職もしていなければ、アルバイトも就活もしていない、そして学生でもない……そのような人もニートといえる存在です。
フリーターは社員ではないもののバイトはしている若者
フリーターは、ニートとは違い、正社員ではないものの仕事はしています。ニートと同じでフリーターも15歳~34歳の若者対象になりますが、非正規雇用でも仕事はしている以上、ニートとは違った存在になります。
ちなみにフリーターといえばアルバイトやパートで働く人をイメージしがちですが、派遣社員や契約社員などの非正規雇用で働く人も厳密にはフリーターという扱いになります。
つまりニートは無収入、フリーターには少ないながらも収入はある、この点が大きな違いになります。
ニートとフリーターには実は共通点もある
ニートとフリーターは同義ではありませんが、似ている点、共通点も中にはあります。今度は、ニートとフリーターの共通している部分をチェックしていきましょう。
社会的な経験が著しく少ない
ニートやフリーターは、正社員として働く人と比べて社会的な経験が著しく少ない傾向にあります。
それは、正社員として仕事をしていない時点で、社会的に立場が低く責任も軽いからです。そのため、あくまで傾向の一つではありますが、ニートやフリーターは「困ったら誰かに頼ればいい」「嫌なことがあったら逃げていい」的な少し甘い考えを持ってしまっているところがあります。
常に将来に対する不安がつきまとう
ニートもフリーターも、大なり小なり常に将来には不安がつきまといます。ニートは当然働いていないからこそ将来に対する不安は大きいものですし、フリーターも安定していないという意味では不安を否定できないでしょう。
正社員になれば定職に就いているという意味である程度安心はできます。収入も安定しますし、キャリアを積めば給料アップも望めるようになります。
どちらも正社員に就職するのは不利になりがち
ニートもフリーターも、どちらも正社員になるのはなかなか不利な立場です。
特にニートは、ニートでいた時間が長ければ長いほど大変なのは明らかでしょう。今までしばらくニートでいた人を採用したいと思う企業は正直少ないですし、就職のために行動しようにも、本人が仕事のやる気を失ってしまっていることも多いです。そうなれば就職はますます難航するでしょう。
フリーターも、意外と就職することは簡単ではありません。フリーターという時点で採用の段階では不利であることには変わりありませんし、今まで正社員で働いた経験が皆無なら、印象もあまり良くないものです。年齢を重ねれば重ねるほど、フリーターの就職はどんどん不利になっていきます。
ニートよりはマシ?フリーターのメリットとデメリット
では今度は、ニートとフリーターそれぞれのメリットとデメリットを考えてみましょう。まずはフリーターのメリットとデメリットを考えていきますが、フリーターは確かにニートよりは「マシ」な存在です。
しかし何かと不安定で、社会的信用が低いことは変わらないでしょう。広い視野でメリットとデメリットを考えれば、メリットとデメリットはそれぞれ見えてくるものです。
稼ぎはありながら正社員ほど責任が伴わないのが楽
フリーターのメリットは、仕事をするうえでの責任がそこまで重くないところです。正社員より稼ぎが少ないことは多いですが、その分責任が伴わない、大変な仕事が少ないことは利点になるでしょう。
どんな職場でも、正社員で役職に就いている人ほど責任が重くなり、アルバイトやパートなどの非正規雇用で働いている人の方が責任は軽くなります。例えば仕事で何かミスをしたとしても、フリーターなら、上の人間である正社員がなんとかカバーしてくれることが多いです。
例外はありますが、とんでもない間違いをしたとしても、最終的に謝る必要が出てくるのは責任者である正社員でしょう。フリーターはそういった精神的負担を減らしたうえで仕事ができます。
仕事におけるあらゆる負担が少なければ、いろいろなメリットが生まれます。代表的なものでいえば、夢ややりたいことと仕事を両立しやすくなる点です。そのため自分のやりたいことや夢のために時間を作りたくて、やむを得ず就職せずフリーターを続けている人はたくさんいます。
仕事はしていても社会的地位は低く収入も安定しない
フリーターのデメリットといえば、稼ぎはあるのにも関わらず、非正規雇用のため社会的地位が低くなりやすい点です。正社員と比べればフリーターは安定性に欠けるため、信用を得られないことが多いのはよくあることでしょう。
日常的になじみのあることで例を言えば、例えば結婚の問題があります。フリーターは正社員と比べて低収入で安定もしていないため、結婚の際にはマイナスな印象を持たれることが多いです。そのためフリーターの状態では、結婚しようと思ってもできない人はたくさんいます。
フリーターで仕事が見つからなくなりニートになる人も
フリーターは実際のところ安定性に欠ける立場になります。正社員と比べて雇用が安定していないため、雇用契約をいつか切られてしまうかもしれない立場なのは間違いありません。
そのため年齢を重ねてから派遣先から契約を更新してもらえなくなり、仕事に困る人は決して珍しくありません。バイト先、派遣先がずっと定年まで雇ってくれる保証はないのです。
仕事がなくなれば、新たに仕事を探す必要が出てきます。しかし若くなければ非正規雇用でも仕事を探すのには苦労するものです。結果としてニート、無職の状態になってしまう人も多いのです。フリーターは無職になる可能性を秘めている、そんなデメリットもあるのです。
フリーターも明日は我が身?ニートのメリットとデメリット
フリーターもニートよりはマシとはいえ、ある意味「明日は我が身」的なところはあります。では続いて、ニートのメリットとデメリットを考えていきましょう。
時間に縛られず自由なのがニートのメリット
ニートのメリットは、何と言っても時間や仕事に縛られず自由に生活できるという点です。
もちろんその分収入はありませんが、何らかの理由で生活費に困らないのなら、とても自由なかたちで生活していくことができます。将来に対する不安を除けば、何にも縛られないニートはとてもストレスフリーな存在でしょう。
仕事の重圧や責任、人間関係のストレス、しがらみ、きつい満員電車、寝坊しないかどうか緊張感を持つことなど、ニートは一般社会人にありがちな悩み苦しみから解放されています。そんなメリットはどんな人にとっても嬉しいものでしょう。
収入がなく貧乏になりやすいのがデメリット
収入がなく、貧乏状態に陥りやすいのもデメリットの一つです。ニートは働かない限り、自分の貯金を崩すか、もしくは家族などに助けてもらわない限り、生活していくことはできません。
いずれかの方法でもし生活していけたとしても、自分が自由に使えるお金はニートにとって非常に少ないでしょう。一般サラリーマンのようにお金を貯めて旅行に行くことはできませんし、ブランドのバッグを買うようなことも難しいでしょう。
食費やその他の固定費に関しても、最低限に抑えたうえで生活していかなければなりません。常に「節約しないと」「今月の〇〇の支払いが厳しい…」といった悩みやストレスを抱えることになるのは、ニートのデメリットとして大きいでしょう。
社会と距離を置いているため引きこもりにもなりやすい
ニートは仕事をしていないため、いわば会社というコミュニティに属さない存在になります。普段から交流する人も数も極端に少ないでしょう。
そのためニートは、そのままの状態でしばらく過ごしていると、やがて引きこもり状態になりやすくなります。引きこもりになれば人との交流がますます億劫になり、就職するチャンスはどんどんなくなっていきます。
怖いのは年齢を重ねてから引きこもりになることです。中高年の引きこもりは現代社会において深刻な問題となっていますし、大人になってから引きこもりになれば、老親に面倒を見てもらう8050問題も決して他人事や冗談ではなくなってきます。
まとめ
ニートとフリーターは同じものだと思われがちなところがありますが、具体的にはいくつか違うポイントがあります。フリーターはニートと違って、正社員ではないものの仕事をしている人のことを言います。
しかしどちらも、正社員で就職することを考えれば不利にはなりやすいですし、仕事の能力が低いことが多いという点では共通点もあると言えます。それぞれのメリットとデメリットを理解し、今後の働き方を考えていけると良いでしょう。特に現在フリーターをしている人は、ニート化する前に、就職に向けて早めに動き出したいところです。