フリーターは日本にたくさんいます。それでは一体どのくらいのフリーター人口がいるのでしょうか。現在フリーターの人や、これからフリーターになるかもしれない人は、どのくらいの人がフリーターになっているのか気になるものです。そこで、この記事ではフリーターの人口について解説しましょう。
フリーターの現在の人口
フリーターの現在の人口がどのくらいなのか説明します。
そもそもフリーターの定義とは?
フリーターの人口を知る前に、まずフリータの定義について知っておくことは大切です。日本においてフリーターとは正社員以外の非正規雇用で生計を立てている人のことです。15歳から34歳の若者が対象として含まれています。したがって、35歳以上で非正規雇用で働いている人は本来のフリーターの対象外となります。ただし、実際には35歳以上の人も高齢フリーターと称されることがあります。
フリーターに関する統計的なデータはたくさん出ています。それらは基本的に15歳から34歳の若者を対象としたデータとなっているため、この点には注意しましょう。35歳以上のフリーターについては詳細な統計データは存在しておらず、それが問題視されています。
2019年のフリーターは138万人
総務省が実施している労働力調査によると2019年のフリーターの人口は138万人でした。5年連続減少していて、近年では最もフリーター人口の低い年となったのです。その理由として考えられるのは景気が回復してきたことです。そのため、企業が正規雇用の採用を活発化させていて、若者でフリーターになってしまう人の数が減少したと予想されます。いわゆる売り手市場の状態となっていたため、フリーターが増えにくい状況となったのです。
それぞれの年代におけるフリーターの割合
フリーターの統計調査では、15歳~24歳、25歳~34歳で区切ったデータが公開されています。このデータによると2019年度においては25歳~34歳のフリーターのほうが、15歳~24歳のフリーターを上回っています。これはこの10年ぐらいにおいて顕著にみられる減少となっています。
かつては15歳~24歳のフリーターのほうが多かったのですが、就職難の時代を経たことでフリーターになってしまった若者がそのまま年をとってしまい、少子化も進んでいるため、25歳~34歳のフリーターの人口が増えてしまいました。
フリーターの男女比
2019年におけるフリーター人口138万人のうち、男性は66万人であり、女性は72万人でした。基本的にどの年代においても、男性よりも女性のほうが若干フリーターの数は多くなっています。ただし、それほど大きな差が生じているわけではなく、フリーターは男女差に関係なく存在する問題といえるでしょう。
また、フリーターの調査において、女性は未婚のものに限られています。したがって、結婚してパートやアルバイトとして働いているような女性はフリーターとはいえません。
フリーター人口の推移
フリーターの人口が過去から現在にかけてどのように推移していったのかを説明します。
2003年がフリーター人口のピーク
調査が始まってからフリーターの人口が最も多かったのは2003年です。この年のフリーターの人口は217万人でした。15歳~24歳のフリーターが119万人、25歳~34歳のフリーターが98万人だったのです。ちなみに男女比は男性が98万人、女性が119万人となっていました。
2003年といえばいわゆる就職氷河期と呼ばれている時代です。大学生が就職難に陥ってしまい、なかなか正社員として採用されることが難しくなってしまい、結果的にフリーターになってしまった人が大勢出てしまいました。そのため、この年にはフリーターは社会問題として認識されるようになったのです。
2009年から増加に転じた
2003年にフリーターが問題視されたことで、政府はさまざまな対策を打ち出しました。そのことから2004年以降はフリーター人口の減少傾向が続いていました。しかし、2009年には再び増加に転じてしまったのです。
2009年からフリーターが増加したのは、リーマンショックによる影響が考えられます。また、派遣叩きが起きてしまい、これによって派遣社員の受け皿が減少してしまった結果、仕事のなくなってしまった人がパートやアルバイトにシフトしていってフリーターが増加したと考えられます。
2011年に至るまでフリーターの人口は増加していったのですが、そこから2013年までは横ばいとなりました。
2013年より減少傾向を示す
2013年以降は景気が回復していき、企業が積極的に正規雇用を実施するようになりました。そのおかげでフリーターにならずに済んだという人が増えていき、フリーターの人口は減少傾向が続いています。
フリーター人口の問題点
日本のフリーター人口に関する問題点について説明します。
フリーターの高齢化が懸念されている
日本ではフリーターの高齢化が進んでいることがずっと問題視されています。2006年から2007年の期間において、初めて25~34歳のフリーター人口が15~24歳のフリーター人口を上回ってしまったのです。今後はこのような傾向がより顕著になってしまうことが問題視されています。
その理由としては、一度フリーターになってしまうとそこからなかなか抜け出せないという問題があります。フリーターから正規雇用を目指している人は多いのですが、そのような人を採用してくれる企業がなかなか見つからないのです。フリータになるとその状態がずっと続いていき、やがて高齢化していきます。
フリーターは、かつて個人の自由な生き方としてもてはやされました。フリーターは正社員のように会社に縛られる存在ではなく、ストレスのない立場でプライベートを優先させながら働ける形態として評価されていた時代があったのです。
しかし、現実にはフリーターというのは正規雇用されなくて仕方がなくやっているという人が大部分です。景気の良かった時代のフリーターと、現代のように景気の悪い時代のフリーターでは全然意味合いが異なっています。
今後もフリーターの正規雇用が行われない状態が続いていくとますますフリーターの高齢化が進んでいくでしょう。フリーターは収入が少なく貯金のない世帯が多く、社会保障も正社員と比べれば恵まれていません。フリーターのまま高齢化していくことにはさまざまなリスクが考えられるのです。
35歳以上は労働力調査ではフリーターとみなされない
フリーターの問題を考えるときに重視されるのは統計データです。しかし、フリータの今の定義では、35歳以上の非正規雇用者は含まれなくなっています。これでは、フリーター問題の本質を見極めることができなくなるでしょう。
35歳になってフリーターと呼ばれなくなったからといって、フリーター同然の働き方をしている人たちの問題が解決されたわけではありません。むしろ、統計データにあらわれなくなったことによって、問題が隠れてしまうでしょう。そのため、今後は35歳以上のフリーターについてしっかりと調査することが求められます。
フリーターの高学歴化が進んでいる
一昔前まではフリーターといえば中卒や高卒の人がなるというイメージがありました。しかし、就職難の時代には高学歴のフリーターが誕生しました。東大生のフリーターも存在するのです。これではせっかく高等教育を受けたことが無駄になってしまいます。優秀な頭脳が適切に活用されなくなるのは日本にとって大きな損失といえるでしょう。
中には、修士課程や博士課程を卒業したのにコンビニでバイトをしているような高学歴フリーターもいるのです。優秀な人材をフリーターとして埋もれさせている状態がずっと続いているのが日本です。
日本では人手不足が続いているといわれているのですが、その一方で高学歴フリーターのような人材はたくさん放置されている状態です。今後は、優秀な能力を持っているフリーターをうまく正規雇用で活用することを真剣に考えるべき時代となるでしょう。
今後のフリーター人口について
日本のフリーター人口は今後どうなっていくのか気になる問題でしょう。それでは、これからのフリーターについて予想してみます。
コロナによる不況でフリーターが増える可能性がある
日本ではフリーターがどんどん減少していました。これは日本の景気が回復していき、人手不足が進んでいたため、正規雇用の採用が増えていったからです。しかし、2020年になってコロナが発生しました。これによって、確実に日本は不況に陥ってしまうとされています。そうなれば、フリーターが増える可能性はとても高いです。
すでにコロナのせいで採用を見送ったという企業は多数存在します。コロナのせいで2020年は就職活動ができなくなったという求職者はたくさんいるでしょう。企業は業績が悪化したことで求人を減らすことが考えられます。このような理由によって、フリーターが増える可能性はかなり高いです。
また、コロナによる不況の影響は今後数年にわたって続いていくでしょう。ひょっとしたら、これから10年以上も不況が続いてしまう可能性もあります。そのため、今後はフリーターの増加が大きな社会問題となるかもしれません。
景気が回復すればフリーターは減少する
コロナによる不況が起きる可能性はかなり高いのですが、うまく日本政府が対策を取ることで不況を避けられるかもしれません。また、コロナ不況のあとに景気が回復することもあるでしょう。景気が回復すれば企業は業績が上がり、積極的に人を雇うようになるため、正規雇用者が増えていき、フリーターが減少することが予想できます。
これからフリーターが増えるかどうかは日本の景気の動向に大きく左右されるのです。
まとめ
日本のフリーター人口についてまとめました。2019年のフリーターの人口は138万人です。フリーターは減少傾向にあったのですが、コロナによって今後は増加傾向に転じる可能性が高いです。フリーターの高齢化や高学歴化が進んでいて社会問題になっています。多くの人にとって、フリーター人口の問題は他人事ではありません。