フリーターをしている人でも厚生年金に興味を持つ人は多いでしょう。厚生年金に入ることができれば、将来もらえる年金を増やすことができるからです。それでは、フリーターが厚生年金に入ることができるのか詳しく解説します。
フリーターと正社員の厚生年金について
フリーターと正社員の厚生年金の実態について説明しましょう。
フリーターの多くは国民年金に加入している
フリーターの多くは国民年金に加入しています。日本には年金制度が存在していて、正社員であれば基本的に厚生年金に加入するのですが、非正規のフリーターの場合は厚生年金に入れず国民年金に加入するケースが多いのです。国民年金の特徴として、その人の年収に関係なく支払額は毎月一定となります。
フリーターだけではなく、自営業をしている人も国民年金です。農業や漁業を営んでいるような人も国民年金に加入しています。基本的に国民年金のみだと将来の年金の額は最低限度のものとなるでしょう。国民年金は自分で支払う必要があるため、フリーターは毎月支払い用紙をコンビニなどに持っていって支払うか、口座引落で支払うことになります。滞納することがあれば、催告状や催促状が届くことがあるため注意しましょう。
正社員のほとんどは厚生年金に加入している
多くの正社員は厚生年金に加入しています。厚生年金というのは、国民年金に上乗せして支払う形となっていて、会社が負担しています。正社員が毎月もらう給料から年金が天引きされているため、正社員は年金を自分で納める必要がありません。そのため、厚生年金に関しては基本的に年金の滞納などが問題になることはないでしょう。正社員の場合は、自分がどれくらいの年金を支払っているのかあまり意識していない人が多いです。
フリーターは厚生年金に加入できるのか?
果たしてフリーターが厚生年金に入ることができるのかどうか解説します。
条件を満たしていればフリーターでも厚生年金に加入できる
厚生年金は正社員が入れるものと考えている人がいるかもしれません。しかし、実は条件を満たしていればフリーターであっても厚生年金に入ることはできるのです。厚生年金というのは、けっして正規雇用の者のみを対象とした制度ではないのです。
正社員から契約社員、パートタイマー、アルバイトにいたるまで、どういった名称の労働者であっても、事業所に雇用されているすべての者を含んでいます。条件を満たしているかどうかが問題とされるのです。
フリーターが厚生年金に加入するための条件
フリーターが厚生年金に加入できる条件は下記の通りとなっています。
・勤務日数と勤務時間が正社員の4分の3以上
・週に20時間以上勤務している
・賃金の月額が8.8万円以上であること
・雇用期間の見込みが1年を超えている
・従業員が501名以上の会社に勤めている
・学生ではない
フリーターの場合はいくつものアルバイトを掛け持ちしているケースがあります。そのうち上記の条件を満たしている会社が1つでもあるならば、厚生年金に加入することができます。逆にいえば、1つでも満たさない条件があると厚生年金には基本的に入れないと考えましょう。
フリーターの場合はアルバイトだけで生計を立てている人が多いです。そういう人は上記のケースに当てはまることは珍しくありません。長く働いている職場があるならば、上記の条件と照らし合わせてみて、自分が厚生年金に入れるかどうか調べてみると良いです。
上記の条件のうち厳しいものは、雇用期間の見込みが1年を超えているという点でしょう。たとえば、毎日雇われてその都度給料を受け取る形態で働いている人がいます。あるいは、1ヶ月や2ヶ月など短期間だけ雇われているというケースもあるでしょう。
これらのケースであっても、所定の期間を超えて引き続き使用される状態になっているならば、厚生年金の条件を満たしていることがあります。一定期間を超えて雇用されているならば、常時使用されているとみなされるからです。
フリーターが厚生年金に加入する際の手続きはすべて事業主が行います。そのため、自分が条件を満たしている場合は、すぐに訴え出ることをおすすめします。条件を満たしている場合は、雇用者には従業員に対して厚生年金に加入させる義務が発生します。もし、条件を満たしているのに手続きを進めてくれないならば、会社の所在地を管轄している年金事務所に相談しましょう。
フリーターが厚生年金に加入するメリット
フリーターが厚生年金に加入するメリットについて紹介しましょう。
国民年金よりも年金の額が増える
厚生年金のほうが将来もらえる年金の額は増えます。最近、毎年のように年金の支給額が減らされていることが話題となっています。たとえば、国民年金の平均受給額は6万円にも満たないのが現状です。一方、厚生年金については15万円程度が平均受給額とされています。
したがって、厚生年金のほうが国民年金の倍以上もの年金をもらうことができるのです。今後、年金の受給額は確実に減っていくでしょう。現状でも国民年金だけでは老後の生活を送ることは難しいといえます。そのため、老後の備えとして厚生年金に加入しておくことはとても大切です。
厚生年金とは、国民年金に加えて厚生年金の分がプラスされるという制度であり、だからこそ将来もらえる年金の額が増えるのです。厚生年金については収入によってもらえる額に差が生じます。フリーターの場合は正社員よりも将来もらえる厚生年金は少なくなりやすいのですが、それでも国民年金と比較するとかなり恵まれています。
厚生年金は半分を会社が負担してくれる
厚生年金は会社が負担してくれるというメリットがあります。基本的に厚生年金の保険料は従業員と会社が半分ずつ負担をするという決まりとなっています。そのため、厚生年金に加入したとしても、フリーターに大きな負担がかかることはありません。
実際に毎月払うことになる年金保険料は国民年金のときと比べてあまり変わらないか、高くなるケースがあります。それでも、半分を会社が負担してくれることになるため、将来もらえる年金の額が倍以上になるのです。
フリーターが厚生年金に入るデメリット
フリーターが厚生年金に入ることにはデメリットも存在しています。どういったデメリットがあるのか解説しましょう。
社会保険料が増える可能性がある
厚生年金の保険料は給与額に応じて等級が定められており段階的に決められている仕組みです。実際に計算するとなると複雑になってくるため、注意しましょう。基本的には給与が高くなるほど社会保険料も増えると考えて間違いありません。厚生年金は半分を会社が負担するのですが、それでも国民年金のときよりも負担額が増える可能性は高いです。この点は了承しておきましょう。
正社員と同じぐらい働かなければいけない
厚生年金をもらうためには正社員と同じぐらいのペースで働かなければいけません。厚生年金をもらうことを目指すならば、仕事の量を増やさなければいけないのです。
フリーターが加入できる厚生年金以外の社会保険とは
フリーターが加入できる社会保険は厚生年金だけではありません。それでは、他にどういった社会保険に加入することができるのか紹介しましょう。
労災保険
労働者が病気や怪我をしたときに治療費などの補償を受けられるのが労災保険です。仕事をしているときや通勤途中などに生じた怪我や病気、災害、死亡などに対して保険給付をしてくれる制度です。労災保険の特徴は業務上と通勤途上に起因したもののみが対象となる点です。労災保険は正社員だけではなく、パートやアルバイトであっても加入することができます。
また、保険料は全額を事業者が負担しなければいけません。労働者を1人でも雇っている場合、会社は労災保険に加入することが義務とされています。すべての労働者が対象となるため、フリーターであれば労災保険には必ず入っているはずです。もし、自分は労災保険に入っていないと思っているならば、それは間違いです。事業者が違法なことをしているため、すぐに労働基準監督署に通報しましょう。
また、労災保険に未加入であっても、労災の給付を受けることができます。原則としてすべての労働者が加入するべきものだからです。
雇用保険
労働者が失業してお金を稼げなくなったときに生活の安定を図るため、また再就職を促進するための目的に支給される保険のことを雇用保険といいます。仕事がなくなったときに備えておける保険です。雇用保険については条件を満たしていればフリーターでも加入できます。条件は下記の通りです。
・勤務開始したときから最低31日以上働く見込みがある
・1週間に20時間以上働いている
・学生ではない
アルバイトやパートとして生計を立てているのであれば要件を満たすケースは多いでしょう。雇用保険に入っておけば、万が一失業したときにも給付を受けることができます。ただし、給付額は退職前の賃金を基本として計算されるため、フリーターの場合はそれほど多くの給付は期待できません。
健康保険
日本国民は何らかの公的医療保険に加入する義務があります。正社員の多くが加入しているのは健康保険であり、フリーターであっても健康保険に入れるケースがあります。健康保険の負担については、半分を会社が負担してくれるのが特徴です。国民健康保険の場合は全額を自己負担しなければいけません。フリーターが会社の健康保険に加入すれば、保険料を少なくすることができてメリットが大きいです。
ただし、健康保険であっても、国民健康保険であっても、基本的な中身は同じです。保険証を提示すれば医療費は3割負担となります。
まとめ
フリーターが厚生年金に入ることができるのかどうかまとめました。条件を満たしていれば、フリーターであっても厚生年金に入ることは可能です。また、そのほかの社会保険についても条件を満たせばフリーターは加入できます。条件についてよく調べておきましょう。