中年フリーターには、さまざまなリスクを抱えています。フリーターということは、正社員で仕事をしていないということになりますから、経済力や将来に対する安定性、仕事の能力など、何かと不安要素になることは多いです。
現在中年の年齢でフリーターをしている人は、実際に「そろそろ本当に就職しないとまずい」と考えているはずです。むしろ「もうこんな歳だし、これから正社員になるのはもう無理かもしれない……」と感じている人もたくさんいるでしょう。
そこで今回は、中年フリーターのリスクについて解説しながら、就活方法、おすすめの仕事をご紹介していきます。
中年フリーターは実は多い?
世の中に中年でフリーターをしている人は、意外とたくさんいます。
ちなみに厳密には、フリーターとは15歳~34歳の非正規雇用で働く人のことを言うため(学生は除く)、中年である以上、フリーターとは言わないことも多いです。
ただ世の中的なイメージとして、フリーター=年齢関係なく非正規雇用で働く人という印象は強いものでしょう。そのため35歳以上の大人であっても、中年のフリーターと言われることはよくあります。
最近はアルバイトやパート、派遣社員、契約社員など、非正規雇用の数が増しています。それに伴って、中年でフリーターをしている人も増加傾向にあると言えるでしょう。
中年フリーターが抱えるリスクは何がある?
意外と世の中にたくさんいる中年のフリーターですが、たくさんいるからとって「それなら大丈夫か」と安心してしまうのは危険です。中年のフリーターにはたくさんのリスクがあり、そのリスクを自覚しない限り、恐ろしい末路を辿ることになりえます。
ここからは、そんな中年のフリーターが抱えるリスクについて考えてみましょう。
いい大人なのに責任感が育たない
中年とは、40歳前後の大人のことを言います。30代後半、40代前半ともなれば、一般サラリーマンであれば十分キャリアを積んで出世している年齢です。
部下を持ち、重要な役員のポジションに就いている人も多いでしょう。そのため立派な大人としてリーダーシップや責任感を持ち、仕事に励んでいる人はたくさんいます。
しかし中年フリーターの場合はどうでしょうか。長い間アルバイトや派遣社員しかしてこなかったり、そもそも正社員で働いた経験がなかったりすると、中年のフリーターは同年代の正社員と比べてなかなか責任感が育ちません。
人生の後輩である年下の人間に、威厳を示すことはなかなかできないでしょう。中年のフリーターは、非正規雇用という立場の低いところで働いてきているため、一般的に40歳前後の男女に求められる能力が育っていないことが多いのです。
収入が低く貯金が貯まらない
中年のフリーターには、収入が低いこと、貯金が貯まらないことなどの大きなリスクもあります。
非正規雇用は働き始めるときのハードルが低い分、賃金も安くなりがちです。そのため中年のフリーターは、同じく中年の正社員と比べて、お金を持っていないことがほとんどになります。
収入が低ければ当然貯金も貯まりづらくなるでしょう。いい大人なのに経済力がないことをマイナスに感じられて、結婚できない中年のフリーターも多いです。
無職や引きこもりになる可能性も
中年のフリーターは、無職や引きこもりになる可能性がある存在です。もちろん働いている時点で、誰もがそのような末路を辿るではありません。しかし可能性としてそのようなリスクを抱えていることは認識しておきましょう。
中年のフリーターが無職や引きこもりになりやすいのは、そもそも非正規雇用という時点で仕事が安定しないこと、正社員を目指そうと思ってもなかなか働き口が見つからないことなどが理由として挙げられます。実際に、中高年の引きこもりは、現代における非常に深刻な社会問題となっています。
高齢化すればするほど正社員への道は絶たれやすい
中年のフリーターにとって危険なポイントとなるのは、とにかく年齢を重ねれば重ねるほど就職が大変になっていくことです。
まず、40代あたりの人間を企業が採用する理由は何でしょうか。フレッシュさややる気などは、間違いなく中年には求められないでしょう。40代前後の中年社会人に求められるのは、いかに会社の即戦力になれるかというポイントです。
管理職に就くことを前提として求人を出している企業も多いです。つまり、中年のフリーターが就職するためには、企業をうならせるような高い能力と経験が必要になるということです。
しかしそんな求人はあまりありませんし、やはり就職は若い年齢の方が有利です。求人の数も、20代~30代向けのものは圧倒的に多いです。
つまり高齢化すれば、求人の数、求められる条件はどんどん厳しくなっていくということになります。中年のフリーターは、このままではどんどん働き口がなくなってしまう…というリスクを抱えているのです。
中年フリーターにおすすめの就活方法
では、そんな中年のフリーターが今後本気で正社員を目指すとなった場合は、どのような就活方法をとるのが一番なのでしょうか。
フリーターの場合は、自分で求人を見つけて内定を勝ち取るのは、意外と難しくなりがちです。中年のフリーターであれば条件も厳しいためなおさらでしょう。就活する際にはどんな方法をとるべきなのか、ポイントを整理しておきましょう。
ハローワークに通う
まず一番に考えたいのは、ハローワークに通って仕事を紹介してもらうことです。就職の支援といえばハローワークをイメージする人も多いでしょうし、既に利用したことのある人も多いでしょう。
ハローワークは地元の会社とのつながりが強いため、地元就職に向いているといった特徴があります。「この歳までフリーターを続けてしまったせいで、働き口に困っていて…」と相談すれば、しっかり仕事を紹介してもらえるでしょう。また、就職に関わる相談や研修も、受け付けてくれます。
就職エージェントを利用する
中年の男性女性が、フリーターから就職を考えるなら、就職エージェントの利用もおすすめします。できればハローワークとあわせて利用し、就職先の選択肢はなるべく複数用意したいところです。
就職エージェントの場合は、登録している求職者向けの非公開求人をたくさん持っていることが多いです。中年のフリーターでも挑戦可能な仕事があれば、積極的に紹介してくれるでしょう。また、近年は非正規雇用で働く人が増えた影響からか、フリーターを積極的に支援する就職エージェントもたくさんあります。
フリーターの就職を支援する団体に相談する
フリーターに対する支援といえば、他にはNPO法人などが挙げられます。フリーターなど非正規雇用に悩む人向けの団体、就職に困っているフリーターを支援する団体など、数と種類はたくさんあります。
就職エージェントやハローワークと違って、直接的な仕事を紹介してもらえるわけではないこともありますが、悩み相談に関してはとても親身になって聞いてくれる場合もあります。
中年のフリーターで、とにかく将来が不安でどうすれば良いのかわからない……となったら、支援を積極的に行っている団体を尋ねてみるのもおすすめです。
バイト先の正社員登用のチャンスを狙う
フリーターをしているなら、現在のアルバイト先の正社員登用のチャンスを狙うことも一つの手です。ずっと勤務していたからといって誰でもバイト先では社員になれるわけではありませんが、社員登用制度があるなら多かれ少なかれ期待はできるでしょう。
現在のバイト先で正社員にしてもらうことを望むなら、店長や社長など、責任者に社員になりたいことを希望として伝えてみましょう。もし現在は無理だったとしても、本気で社員を目指すならどうすれば良いのか、対策ややるべきことを丁寧に教えてくれるかもしれません。
中年フリーターに向いている正社員の仕事
ではここからは、中年のフリーターでも就職できる可能性のある仕事を見ていきましょう。ブラックな職場には注意しなければなりませんが、中年のフリーターでも挑戦可能な業界は、主に人手が不足しやすい業界です。
人手不足の業界は、はっきり言って採用の際にもそこまで求職者の能力にこだわっていられない部分があります。そのため人手不足の業界なら、たとえ未経験でも就職できる可能性が出てくると言えるでしょう。
接客・サービス業
接客・サービス業は店舗やサービスの多さから、求人そのものが多く、比較的特別な能力を必要としないことも多いです。
そのため中年のフリーターでも就職に向けてチャレンジできることは多く、求人もたくさんあるからこそ何度も挑戦することができます。ただ、経験がなければ、ほとんどの場合接客を必要とする現場に配置されるため、立ちっぱなしの仕事になることは覚悟しておきましょう。
IT企業
近年最も需要の増している業界とも言えるIT企業も、中年フリーターでもチャレンジできる可能性はあります。よくIT企業は、就職・転職において売り手市場と言われるものです。
ただ、最低限の知識・スキルとして、パソコン・スマホを難なく扱えることは必要となってくるでしょう。場合によっては、実務経験自体はないにしても、プログラミングなどの専門知識を有していることが条件になることもあります。
介護
介護業界も、常に人手不足が問題となっている業界なので、中年のフリーターでも就職はしやすいでしょう。業界未経験でも、介護職はチャレンジ可能です。
しかし職場によっては、劣悪な環境に精神を病みやすいこと、心身ともに負担がかかる仕事であることを認識しておく必要があります。
運転手
運転手も、人手不足の面からは比較的就職しやすい仕事と言えるでしょう。特にタクシー運転手は人手不足になっていることが多いため、中年でフリーターの状態から就職し、タクシー運転手になる人は多いです。
その他、トラックの運転手なども狙い目です。深夜のトラック運転手になると昼夜逆転の生活になるデメリットはありますが、深夜である分手当がつくという良さもあります。
まとめ
中年のフリーターには、何かとリスクがたくさんつきものです。中年の状態でフリーターを続けると、やはり就職しづらくなるといったデメリットは大きくなります。これから就職することを考えるなら、できる限り早めに行動は起こした方が良いでしょう。
中年ともなると、仕事の選択肢も限られてきます。特にフリーターの期間が長い人、今まで正社員で働いた経験がない人は内定も取りづらくなるため、就職先は慎重に選ぶようにしたいところです。