親の扶養に入っているフリーターにとって、親の芙蓉から外れることは、常に心配していることの一つです。親の扶養から外れることがあれば、税金の支払い義務が生まれるなど、何かと困ることも多くなります。
しかし扶養から外れることがない限り、十分に生活費を自分で稼ぐことはできないでしょう。扶養から外れるべきかそれとも現状のまま稼ぎを調整すべきか、フリーターにとって親の扶養に入っていることは悩みの種になりやすいです。
そこで今回は、フリーターが親の扶養から外れるケースについて解説しながら、もし外れたときはどうなるのか、その後のメリットやデメリット、取るべき行動をご紹介していきたいと思います。
フリーターの「扶養から外れる」とは?
フリーターあれば、親と同居の状態で親の扶養に入っていることも多いでしょう。では今回テーマとしている「扶養から外れる」という状況は、どういう状態を示すのでしょうか。扶養控除の意味について触れながら、詳細を整理していきましょう。
親と同居のフリーターは扶養控除に注意
扶養控除とは、扶養家族の人数によって、本来なら支払うべき税金が一部控除されることの制度をいいます。親の扶養に入っている場合は、扶養控除によって、世帯主である親は税金が減るようになっています。
そのため稼ぎが一定額の少なさで済むフリーターの人は、稼ぎを抑えることで、世帯主である親の税金を増やさずに済むことができます。
しかしその額を超えて稼ぐとフリーターは親の扶養から外れることになり、結果として親にかかる税金は増えてしまいます。扶養控除の対象からは外れることになるからです。自分のバイト収入が増えても、結局家計を共にしている同居の親の税金が増えてしまうのでは、総合的に意味がなくなるため注意が必要です。
フリーターが注意すべき扶養を外れる基準とは?
親の扶養内で働いているフリーターは、扶養から外れないためにも、扶養から外れる基準となる収入を知っておく必要があります。親の扶養に入っているフリーターは、扶養から外れないためには収入にいくらに抑えるべきなのでしょうか。
フリーターが注意すべきは「103万の壁」
まず、注意すべきは年収103万円を超えないようにすることです。年収103万を超えると、フリーターでも親の扶養から外れる対象となってしまいます。先ほどもお伝えしたように、103万円を超えると、自分の親が扶養控除を受けられなくなります。
そうなると住民税や所得税など、払うべき税金の額が一気にアップすることになるのです。これはたとえ1円でも超えたら扶養から外れるため、毎年103万円近くをうろうろしている場合は、稼ぎの調整には非常に慎重になる必要があります。
扶養から外れないためには103万以内に年収を抑える
扶養から外れると親は扶養控除を受けられなくなり、自分は稼ぎが増えたとしても、結局家族全体の支出は増えてマイナスになることが考えられます。少ない稼ぎで済むフリーターの人は、103万円以内に稼ぎを抑えられるよう、調整していきましょう。
ちなみに103万を超えないための月収の目安は、月収8万円ほどです。毎月9万円稼ぐと9万円×12ヶ月で年収108万円になるため、これでは扶養を外れることになります。
扶養を外れるとフリーターはどうなるのか
では、フリーターは親の扶養から外れると、どんな利益と不利益があるのか、さらに具体的なポイントを見ていきましょう。扶養を外れると親の税金が増えてしまうことには触れてきましたが、本人の税金はどうなのでしょうか。扶養を外れる場合は、以下のようなメリットとデメリットが生じることになります。
各種税金が控除の対象ではなくなる
扶養を外れると、103万円以上稼いでいることになるため、実は本人も払うべき税金が増えていきます。まず、103万円を超えると所得税の課税対象になります。103万円より年収が低い場合は実は所得税は払う必要はないのですが、この103万の壁を超えるとフリーターだったとしても関係なく所得税の納税が必要になってきます。
さらに103万円を超えたということは、住民税の免除条件からも外れることになることを覚えておきましょう。住民税には扶養を外れる・扶養に入っているといった概念は関係ないものですが、100万円以下の収入の人は、住民税が免除される仕組みになっています。
ですが103万円を超えて扶養から外れるということは、同時に住民税の課税対象でもあるということです。そのため扶養を外れた時点で住民税の請求が来るようになり、結果として103万円を少し超えた程度では、逆に支払いに困ってしまうことも少なくありません。
支払うべき税金は増えるがたくさん稼げる
親の扶養を外れることになれば、当然、それに伴って支払うべき税金は増えていきます。しかしその分、フリーターとしてフルタイムで働いて毎月がっつり稼ぐことも可能になってくるでしょう。
自分で必要な生活費をすべて稼ぎたいと思っている人も多いでしょうし、少ない稼ぎだけで抑えるのみでは生活の中で我慢することも多いはずです。扶養を外れることはフリーターにとって支払うべき税金が増えてきついことですが、たくさん稼げるようになるという意味ではメリットも大きいことなのです。
ちなみに103万の壁の次には、今度は130万の壁というものがあります。この130万の壁を超えると、さらに払うべきものは増えていきます。130万円を超えると社会保険や厚生年金の加入対象になり、加入すれば保険料の支払いがさらにのしかかってきます。
こうなってしまっては、130万円を少し超える程度では同じように支出の多さに悩むばかりです。130万円を超えるところまで稼いでしまった場合は、生活に困らないためにもがっつりフルタイムで稼いでしまった方が得策になります。
扶養を外れることはフリーターにとって大変だが…
扶養を外れることは同時に年収103万円以上を稼ぐということですから、親の税金が増えるだけでなく、本人には所得税や住民税などの支払い義務が生まれることになります。そのせいで支払いが大変になり、稼いでいるにも関わらず生活が苦しくなる人もいるかもしれません。
しかし前項でも触れてきたように、扶養を外れることはフリーターにとってメリットもあることです。生活費をしっかり稼げるようになることは、長期的に見ればプラスに働くでしょう。
最低限自活していくための生活費は稼げるようになる
親の扶養に入っているフリーターは、基本的にフルタイムでがっつり稼ぐようになれば親の扶養を外れることになります。すると税金は増えますが、最低限自活していくための生活費は稼げるようになるでしょう。
フルタイムでアルバイトをすれば、毎月15万円前後の稼ぎは得ることができるでしょう。時給の高いバイトならもっと高い収入になることが見込めます。これに対して扶養内で稼ぐということは、ぎりぎりまで稼いだとしても月収は8万円程度です。この差は大きいものです。
自活していけるだけの生活費が稼げれば、ゆくゆくは一人暮らしもできますし、自分のための貯金をすることも、欲しいものを自分のお金でしっかりゲットすることもできます。自分でお金を稼いで生活しているという実感を得ることで、以前よりも責任感が増して考え方も大人になるでしょう。
自活することで家でも肩身の狭い思いをせず済む
フリーターが扶養を外れることは、自分の地位を家族の中で上げることにもつながります。いわば家族の中で市民権を得ることになります。
扶養内でアルバイトをして過ごすということは、当然生活費は足りませんし、つまりは親兄弟などに養ってもらっている状態です。正直毎日肩身が狭く、実家にいても気まずいばかり……という人も多いでしょう。
しかし扶養を外れてしっかり稼ぐことができるようになれば、少なくとも自活していることにはなります。今までのように肩身の狭い思いはしなくて済むでしょう。就職はしていないものの、一人の大人としてある程度市民権は得られたような気がして安心もできるはずです。親の扶養を外れることには、そういったメリットもあるのです。
いずれ就職するなら扶養を外れてバイトすることも考えよう
今はフリーターの人でも、いずれは就職するつもり…と考えているでしょう。しかし週数回程度のアルバイトからいきなり正社員に切り替えると、毎日働く感覚に体が慣れず、適応できないことにストレスを感じてしまう人は多いです。
そんなとき先にフルタイムで働くアルバイトを経験しておけば、近い将来就職したときも安心できるでしょう。親の扶養から外れてバイトをすることは、今後就職する流れに持っていくためにも大事なことなのです。
ちなみに103万円、130万円の壁を超えて稼ぐなら、やはり時給が高くたくさん稼げる仕事が良いものです。バイトも良いですが、派遣社員や契約社員などの雇用形態で働くことも考えてみましょう。派遣社員や契約社員ならバイトより時給が高くなりやすいため、たくさん稼ぐのには向いています。場合によっては紹介予定派遣など、就職を見据えた契約で働くこともできるため、新しく仕事を探すときにはぜひチェックしておきましょう。
まとめ
フリーターにとって心配事の一つとなるのは、親の扶養から外れるかどうかというポイントです。少ない稼ぎの中でバイトをしているフリーターは多くの場合親の扶養に入っていますし、家族総合の支出を増やさないためには扶養内で稼ぎを調整して働くことが大切です。そのためには扶養を外れる基準の一つである103万円の壁は超えないように気をつけましょう。
しかしフリーターである以上、いつかは就職を考えている人はほとんどでしょう。扶養を外れることになれば同時に自分の税金も増えますが、今後のことを見越して行動するなら、扶養を外れて働くことも前向きに考えて良いはずです。正社員で就職することも考えつつ、今後の自分の働き方を見極めていきましょう。